厚生労働省は、2020年度に本格稼働を予定する「全国保健医療情報ネットワーク」の検討に向けた議論の方向性を、9日に開かれた医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループに示した。病名、処方、調剤等の共有により、重複投薬や残薬が減少できること、医療機関・薬局間の連携(EHR)を中心に検討し、ビッグデータ活用や個人の健康管理(PHR)にもつながる情報連携基盤を目指す必要性等を挙げている。
厚労省は、同ネットワークの主な検討課題として、▽サービスやネットワークの検討▽管理・運営主体▽コスト▽運用ルール――の四つを論点に示した。サービス内容としては、医療機関、薬局等にとってコスト負担に見合った便益のあるサービス、患者や国民が実感できる具体的なメリットのあるサービスを挙げ、病名、処方、調剤等の保健医療記録を共有する方向性を提示した。
患者に何度も同じ説明をする必要がなくなり、処方、調剤データの共有により重複投薬や残薬を減らせるなどとし、医療機関と薬局間の連携を中心に検討する方向性を示した。さらに、ビッグデータの活用やPHRにつながる情報連携基盤を目指す必要性を強調した。
共有するデータ項目としては、共有が有効な最小限のデータ項目について、病院、診療所、薬局等のデータを双方向で連携する仕組みを検討する方向性を示し、構造や記載内容が標準化されているレセプトデータの有効活用を検討するとした。
電子カルテデータについては、共有が有効な最小限のデータ項目を特定し、標準規格の策定と実装を推進することが必要としている。これについては、医療等分野情報連携基盤検討会での議論を踏まえ、保健医療情報標準化会議で検討する方針だ。