FTDとTPIを配合、経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤
大鵬薬品工業株式会社は5月9日、既治療の切除不能胃がん患者における「ロンサーフ(R)配合錠 T15・T20」(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)とプラセボを比較したP3試験(TAGS試験)において、主要評価項目である全生存期間(OS)を有意に延長する結果が得られたと発表した。同試験の結果は今後、学術集会や学術雑誌での公表を予定している。
ロンサーフは、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより、薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有している。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されている。TPIはFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持する。
結腸・直腸がんでは世界48か国の地域で承認済み
TAGS試験は、大鵬薬品が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同P3試験で、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者において、同剤とベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較したもの。主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、安全性と忍容性などだった。同試験は、切除不能胃がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある18歳以上の507人を対象に、日本・北米・欧州・ロシア・トルコなどで実施された。
2015年6月、同社と仏セルヴィエ社は、同剤の共同開発および商業化に関するライセンス契約を締結し、欧州と北米、日本、アジアを除くその他地域において、同剤の共同開発と商業化を進めていた。日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」の適応症で大鵬薬品が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸がん」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が販売している。2018年4月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として世界48か国の地域で承認されている。同社は、今回の試験結果を受け、今後、切除不能胃がんでの早期申請を目指していきたいとしている。
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・大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース