日本製薬工業協会の医薬品評価委員会は4月24日、都内で総会を開催し、今年度の事業計画として臨床研究法が施行され、厚生労働省で薬機法の改正に向けた議論が進む中、制度変更への対応に引き続き注力していく。国忠聡委員長(第一三共顧問)は、総会後に開催した会見で、「いかに早く情報をキャッチして、当局に対してわれわれの業界が少しでもやりやすい方向にいくよう影響力を出していかないといけない」と語った。
今年度に実施する具体的な取り組みとしては、▽先駆け審査指定制度、条件付き承認制度の確実な運用に向けた取り組み▽医薬品情報データベース(DB)の有効活用やクリニカル・イノベーション・ネットワーク構想の実現に向けた提言▽ICH-E17の実装に向けた啓発活動▽副作用報告制度等のGVP関連事項の運用改善▽臨床研究へ適切に対応するべくメディカルアフェアー(MA)/メディカルサイエンスリエゾン(MSL)の役割・体制に関する認識のすり合わせ――など9項目を挙げた。
国忠氏は、「医薬品情報DB、レジストリーを用いた新しい開発手法がなかなか見出されていない」との課題を指摘。医薬品医療機器総合機構(PMDA)がレギュラトリーサイエンス(RS)センターを設置し、日本医療研究開発機構(AMED)がクリニカル・イノベーション・ネットワーク推進事業を加速させる中、「われわれも医薬品開発で実際にDBをうまく活用して、具体的に提言していく」と意気込みを示した。
MA/MSLについては、各社によって組織体制や役割が異なる中で、関連する他の委員会とも連携しながら、「上半期までに状況を整理し、MRの情報提供活動とは異なった形で活動していることを確認したい」として、まずは実態を把握した上で具体的な対応を検討する方針を示した。
一方、国際共同治験の新たなガイドラインであるICH-E17の実装が見込まれる中、「われわれの委員会の中でも、臨床評価部会、基礎研究部会、ファーマコビジランス部会に深く絡む。実装でわれわれにどう影響するかを検討しなければならない」と述べた。