約300万人の保険データから継続治療中の喘息患者を調査
アストラゼネカ株式会社は4月27日、保険データベースから「継続治療中の喘息患者」に関するデータを抽出し、重症喘息患者およびコントロール不良な重症喘息患者の割合、背景、および治療実態を調査した非介入研究(KEIFU研究)の結果を、第58回日本呼吸器学会学術講演会において発表した。
この研究は、株式会社日本医療データセンターが保有する約300万人の保険データベースにおいて、2014年4月から2015年3月の1年間に、吸入ステロイド薬(ICS)、またはICSと長時間作用性β2刺激薬の配合剤(ICS/LABA)で継続的な喘息治療を受けている保険記録を有する1万579例の「継続治療中の喘息患者」を対象に実施。研究組み入れの基準日より前1年間の保険請求記録から重症度およびコントロール状態を判定し、その後1年間の臨床経過との関連を検討した。
なお、重症喘息の定義は、欧州呼吸器学会(ERS)と米国胸部疾患学会(ATS)の重症喘息に関するガイドラインに準拠し、組み入れ基準日より前1年間に、高用量ICSに加えてその他の長期管理薬による管理を要した、または組み入れ基準日より前1年間の半分以上の日数で全身性ステロイド薬による管理を要した、あるいはその両方にあてはまる喘息とした。
経口ステロイド薬処方量は20.8倍
その結果、継続治療中の喘息患者のうち、重症喘息と判断される患者は7.8%(823例)、コントロール不良な重症喘息と判断される患者は2.5%(267例)であった。
さらに、研究組み入れ後1年間において、コントロール不良な重症喘息患者は、軽症~中等症の患者と比べ、入院日数が4.9倍(0.375±1.625日/月、0.076±1.035日/月)、経口ステロイド薬処方量は20.8倍(99.9±155.4mg/月、4.8±31.3mg/月)だった。
これまで、重症喘息が喘息全体を占める割合について検討した大規模試験は少なく、重症喘息の中でもコントロール不良な患者の割合は不明であったが、今回のリアルワールドデータの解析結果により、重症喘息治療薬を必要とする患者の実態が明確になった。同社は、今後も患者の治療や生活の改善に貢献していきたいと述べている。なお、同研究結果は今後論文発表される予定。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース