厚生労働省の薬剤耐性(AMR)に関する小委員会は4月27日、「抗微生物薬適正使用の手引き」について、学童期未満の小児を対象とした改正を行うことを了承した。5歳以下の急性気道感染症に抗菌薬が多く処方されている実態から、学童期未満に関する記載を盛り込む。また、その他の領域に関しては、抗菌薬が不必要に使われている事例の検討を行っていく。
昨年6月に発行された抗微生物薬適正使用の手引き第1版は、学童期以降の急性気道感染症と急性下痢症を対象としたものだが、小委員会では、さらに抗微生物薬の適正使用を進めるため、手引きで扱う領域を拡大していく必要性が指摘されていた。
今回、厚生労働科学研究班が領域の優先度を評価したところ、国内のガイドラインは感染症のほぼ全ての領域で作成されていることが判明。抗微生物薬の不必要使用が問題になっている領域については、急性気道感染症以外は十分な検討が行われていなかった。実際に国内では、急性気道感染症における抗微生物薬の不必要使用については言及されているが、学童期以降の記載にとどまっていた。
また、レセプトデータの調査から、5歳以下の小児の急性気道感染症に対して抗菌薬の処方が多い実態が見られており、臨床現場の小児科医からも5歳以下の手引きを求める声が出ていた。そこで今回、急性気道感染症において学童期未満の小児を対象とした手引きの改正を行うことにした。
その他の領域については不必要な使用の事例を優先的に検討し、感染症のほぼ全ての領域で作成されているガイドラインを集約する方向で検討を進める。