BRAF阻害剤のエンコラフェニブとMEK阻害剤のビニメチニブ
小野薬品工業株式会社は4月25日、BRAF阻害剤「エンコラフェニブ」(ONO-7702)とMEK阻害剤「ビニメチニブ」(ONO-7703)について、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果に係る国内製造販売承認申請を行ったことを発表した。
エンコラフェニブは低分子BRAF阻害剤であり、ビニメチニブは低分子MEK阻害剤。BRAFおよびMEKは、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)における重要なプロテインキナーゼであり、この経路が増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されている。この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、悪性黒色腫および大腸がんを含む多くのがんで生じることが報告されており、両剤は、どちらもこの経路の重要な酵素を標的としている。
同社は2017年5月に、米Array BioPharma Inc.(アレイバイオファーマ社)と、エンコラフェニブおよびビニメチニブに関するライセンス契約を締結し、日本と韓国で両剤を開発および商業化する権利を取得している。
統計学的に有意にmPFSを延長
今回の申請は、BRAF遺伝子変異を有する局所進行性、切除不能または転移性の悪性黒色腫患者を対象に国内外で実施された国際共同無作為化非盲検第3相試験(COLUMBUS試験)の結果に基づくもの。同試験の主要評価項目は、エンコラフェニブ450mgを1日1回とビニメチニブ45mgを1日2回の併用療法群(COMBO450群)とベムラフェニブとの無増悪生存期間の中央値(mPFS)。mPFSは、盲検下独立中央評価(BICR)による腫瘍評価(RECISTバージョン1.1基準)に基づいて決定された。
同試験の結果、mPFS(中央評価)は、COMBO450群で14.9か月、対照薬群のベムラフェニブ群で7.3か月となり、COMBO450群で統計学的に有意にmPFSを延長することが示されたという。
エンコラフェニブとビニメチニブの併用療法は、BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)でも承認申請されており、現在審査が行われている。エンコラフェニブおよびビニメチニブは治験中の薬剤であり、現在いずれの国でも承認されていない。
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