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【筑波大研究グループ】検体測定室に医療経済効果-少ない費用で糖尿病早期発見

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2018年04月27日 AM10:00


■望まれる薬局での普及

薬局に設置された検体測定室でのHbA1c測定は糖尿病の早期発見において費用対効果が高いことが、筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科の矢作直也准教授らの共同研究で明らかになった。検体測定室でHbA1cを測定すると、測定しなかった場合に比べて5万円程度少ない費用で健康寿命の延伸効果が実現できることが示された。矢作氏ら研究グループは、検体測定室の普及が糖尿病の早期発見を進めるとしている。検体測定室の医療経済効果を示した研究は初めて。

研究成果は23日付の米国糖尿病学会の学術誌に公開された。厚生労働省の調査によると、糖尿病を強く疑われる人とその可能性を否定できない人の合計は2000万人に上り、糖尿病対策が急務。特に血液検査による早期発見と早期の治療開始が重要と考えられているが、糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、検査を受けなければ発見されない。

こうした中、2014年の臨床検査技師法の告示改正を受け、薬局等で簡易検査を行うことができる「」が認められ、全国の薬局で検体測定室の設置が進みつつある。そこで今回、研究グループは、薬局でのHbA1c測定による糖尿病の早期発見がもたらす医療経済性についてモデル解析を実施した。具体的には、費用効果分析の手法を用い、▽特定健診等の健康診査や他疾患の治療中に受ける診療所での随時検査を通してのみHbA1c測定が可能であった状態▽従来の方法に加えて検体測定室でのHbA1c測定が可能である状態――を比較した。

費用対効果の推計を行うに当たっては、10年から東京都足立区の10薬局でHbA1c測定による糖尿病スクリーニングを実施した「糖尿病診断アクセス革命」プロジェクトで集めたデータのうち、14年集計時点における2024人分のデータを活用した。

その結果、40~74歳の中高年集団1人当たりの検体測定室におけるHbA1c測定の増分費用はマイナス5万2722円となり、健康状態や生活の質を加味して計算した生存期間である質調整生存年(QALY)の増分効果はプラス0.0203QALYとなった。

つまり、薬局等の検体測定室でHbA1cを測定することにより、従来の健診等を通じたスクリーニングのみの場合と比べて5万2722円少ない費用で健康寿命の延伸効果が得られることが明らかになった。

研究グループは「検体測定室の普及による将来の医療費減少が示唆される」との見解を示した。今回のモデルで費用効果分析の費用と医療費は原則的に異なる指標であるため、直接的な換算はできないとし、今後さらに財政影響分析を行って明らかにしていく予定にしている。

今回の研究から、検体測定室での糖尿病の早期発見は費用対効果が高いことが判明し、検体測定室の医療経済効果が初めて明らかになった。研究グループは、「今回の研究成果は、検体測定室の取り組みを公的補助事業として検討する地方自治体に有用な指針となる」と指摘。検体測定室が全国に効果的に普及することにより、少ない費用で糖尿病の早期発見が進み、医療費の削減と健康寿命の延伸につながることが期待されるとしている。

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