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世界初、急性心不全患者の重症度とBNP分子比の関連性が判明−国循

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2018年04月26日 AM11:45

心保護作用低下というBNPの問題点

国立循環器病研究センターは4月24日、急性心不全患者のBNP分子比の変化と心不全重症度との関連性を世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同心不全科の髙濱博幸医師、安斉俊久前部長(現北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教授)、創薬オミックス解析センターの南野直人センター長らの研究チームによるもの。研究成果は「International Journal of Cardiology」に掲載されている。


画像はリリースより

心臓の負荷が増加すると、その負荷を低減するために脳性ナトリウム利尿ペプチド()の体内での産生が増加する。BNPには強力な血管拡張作用と利尿作用があるため、心不全によるうっ血を解消させるため、BNPを体外から補充的に投与する治療が行われることがある。一方、体内でBNPを産生する過程において変化したproBNPは心保護作用が極めて低いため、血中BNP全体量に対するproBNPの割合が高くなることで活性型BNP割合が低くなり、BNPの心保護作用が弱くなるという可能性が指摘されていた。しかしBNP全体における各種BNPの割合の抽出や、判明したBNP種の比率と心不全重症度との関連、急性心不全患者での時間経過に伴うBNP割合の変動などについて、これまで明確な研究成果はなかった。

BNP補充療法の個別化治療に発展の可能性も

国循、、塩野義製薬株式会社の研究チームは、proBNPのみを個別に測定する手法の開発に成功。この手法と従来あったBNP全体の測定手法を改良して組み合わせることで、心不全患者の血中BNPにおけるproBNPと活性型BNPの割合がわかるようになった。この手法を用いて、髙濱氏らの研究チームは、2012年から2015年までに急性心不全で国循に入院した患者154名についてproBNP、総BNPなどの測定を行い、総BNP値が中央値(116.5pg/ml)より低い患者(軽症群:77名)と高い患者(重症群:77名)に分けて解析を実施。その結果、軽症群では重症群よりBNP中のproBNPの割合が低いことがわかった。さらに、入院時proBNP比率が60%以上の患者(高率群:76名)と60%未満の患者(低率群:78名)に分けて解析を実施したところ、高率群では単位BNP量当たりのサイクリックGMP値が低いことが明らかになった。

サイクリックGMPは、活性型BNPがその受容体と結合して細胞に反応を引き起こすときに生じる生理活性物質。つまり、BNP量に対するサイクリックGMP値が低いことは、BNP分子あたりの作用を発揮する効率の低下を意味する。つまり、proBNP低率群では活性型BNPの割合が高いためBNPの心保護作用がうまく機能しているが、高率群では活性型BNPの割合が低く、その結果BNPからサイクリックGMPを産生する経路の働きが弱くなっている可能性が示唆された。今回の研究成果は、いまだ不明な点が多い心不全の病態解明だけでなく、BNP補充療法の個別化治療に発展する可能性があり、今後も引き続き研究を進めていくとしている。

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