イグザレルト前年比11.5%増、アイリーア同12.9%増
バイエル薬品株式会社は、2017年の売上高が前年比4.9%増の3059億円となったことを発表した。同社が売上3000億円を突破したのは初めてで、国内医薬品市場の売上高ランキングも8位に上昇(2016年10位)した。主力製品の売上高と前年比は以下の通り。
・経口抗凝固薬「イグザレルト」715億1400万円(前年比11.5%プラス)
・眼科用VEGF阻害薬「アイリーア」599億8600万円(同12.9%プラス)
・高脂血症治療薬「ゼチーア」319億7400万円(同3.7%プラス)
・高リン血症治療薬「ホスレノール」286億4500万円(同1.4%プラス)
・尿路・血管造影剤「イオパミロン注」171億4000万円(同4.6%マイナス)
・抗悪性腫瘍/キナーゼ阻害薬「ネクサバール」129億3700万円(同6.4%マイナス)
・高血圧・狭心症治療薬「アダラート」111億8900万円(同14.7%マイナス)
2017年1月に就任した
ハイケ・プリンツ代表取締役社長
4月26日に行われた記者会見で同社のハイケ・プリンツ代表取締役社長は、売上の約23%を占めるイグザレルトが、今回の薬価改定で新薬創出加算が外れた影響について、「イグザレルトが革新的製剤であることは間違いなく、この領域における標準療法を大きく変えたと考えています。加算から外れたことには落胆しているが、政府の医療費を抑えたい思惑も理解しています。私たちは業界を通して引き続き政府と協力していきたい」と語った。
36件の第2・3相試験が国内で進行/計画中
プリンツ社長は、売上高における「後発品のない製品」の割合が83%となったとし、「こうした革新的な製品群が、マイナス成長だった国内医薬品市場において、プラス成長へと押し上げた」と語った。同社は現在、36件の第2相、第3相の臨床試験を国内で進行/計画中であるが、会見の中でプリンツ社長は、注力領域の1つとして心不全領域を挙げた。
慢性心不全は心機能の状態によって、大きく2種類に分類されるが、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)は、現行の標準治療を改善するため、新たな治療薬が早急に必要とされているほか、左室駆出率が保持された心不全(HFpED)には、現時点で承認されている薬剤が無い。同社は現在、新規経口投与慢性心不全治療剤「ベルイシグアト」(第3相試験が進行中)と「neladenoson bialanate」(第2相試験が進行中)の2剤について開発を進めている。「日本において心不全患者は今後も増加すると予測されています。また医療費の支払いに伴う経済的負担は増加しており、新しい薬剤の開発が求められています」(プリンツ社長)
会見ではまた、学術的サポートやビジネスサポート、ネットワーキングなど多岐にわたってベンチャー企業を支援するインキュベーションラボ「CoLaborator」を2018年6月6日に開設することも併せて発表した。
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・バイエル薬品株式会社 プレスリリース