■規制改革会議が意見
政府の規制改革推進会議は20日、インターネットやテレビなどの情報通信機器を用いたオンライン診療から服薬指導、医薬品の受け取りまで一気通貫の在宅医療を実現するため、オンライン服薬指導の仕組み作りを早急に行うべきとの見解をまとめ発表した。「対面」原則を求めている規制を見直すことで、対面と組み合わせたオンライン服薬指導を実現し、国家戦略特区以外の地域でも特例的に認めるよう求めた。さらに、「電子処方箋の運用ガイドライン」を見直して処方箋の完全電子化を実現することも求めており、6月に予定している答申の取りまとめに反映させたい考えだ。
オンライン医療をめぐっては、診療でオンラインの活用が認められている一方で、服薬指導については薬機法で「対面」による実施を義務づけられている。厚労省は、特区でオンラインによる服薬指導の実証実験を行うとしているものの、実際に実証実験を行った地域はないのが現状となっている。
また、電子処方箋の運用ガイドラインでは、電子処方箋引換証と処方箋確認番号を患者が薬局に直接持参し、病院から薬局に処方箋を送付することも認めていないことから、オンラインで診療を受けても、服薬指導から医薬品の受け取りまで一貫したやり取りをオンラインで完結することができない。
同会議は、こうした現状を問題視。オンラインで受診できても、医師が院外処方した薬を受け取るために薬局に出向き、服薬指導を受けなければならない負担は通院と同じであると主張。オンライン服薬指導と処方箋の完全電子化を実現させ、移動が難しく必要に迫られている患者が一気通貫の在宅医療を受けられるようにすべきと提言した。
具体的には、初回は対面原則とされた医師によるオンライン診療と同様に、薬剤師によるオンライン服薬指導も対面と適切に組み合わせることで認められると指摘。最近のICT技術の発展を考慮すれば、対面原則で求めている副作用に関する情報提供や多剤併用の防止、残薬管理などについて、スマートフォン、タブレットを活用した服薬指導も可能との考えを表明。こうした現状を踏まえ、対面と組み合わせた服薬指導の仕組みを早急に作るべきとの意見を述べた。
また、特区に指定されていない福島県南相馬市の小高地区で特例的にオンライン服薬指導が実施されている事例を提示。高齢化により在宅医療の需要拡大が予想されることから、必要性に迫られた地域や患者に関しては、オンライン服薬指導と訪問薬剤管理指導を組み合わせられるよう早急に制度を見直すべきとした。
さらに、電子処方箋の運用ガイドラインでは、電子処方箋の引換証、処方箋確認番号を薬局に持参するモデルが盛り込まれ、病院から薬局に処方箋を送付することも認められていないと指摘。紙のやり取りをなくさなければ意味がないとして、電子処方箋の交付から医薬品の受け取りまでの完全電子化を主張。ガイドラインを見直し、電子処方箋のスキームを完全に電子化すべきと提言した。