厚生労働省は19日、医療保険制度に関する論点を社会保障審議会医療保険部会に示した。高額薬剤への対応では、予算の制約や経済性により保険適用外とする取り扱いについて、国民皆保険の基本原則を変えることになるとし、皆保険の原則を堅持しながら費用対効果評価の本格実施などによって適切な価格設定を行う努力をしていくことが適当との見解を提示。委員からも保険適用外とする取り扱いに反対意見が出た。
高額薬剤の保険適用をめぐっては、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の効能追加による保険財政への影響が懸念され、2018年度の薬価制度改革では効能追加に伴う市場拡大に対し、薬価を引き下げるルールが導入されたほか、費用対効果評価を加味した価格調整が実施された。
この日の部会では、有効性と安全性が確認された医薬品で必要、適切なものは保険適用することを基本に対応してきた国民皆保険制度について、予算の制約や経済性によって保険適用外とするような取り扱いが一つの焦点になった。
ただ、こうした対応は国民皆保険の基本原則を変えることにつながるため、高額薬剤への対応は国民皆保険の基本原則を堅持しながら効能追加などの状況変化に対応すると共に、今年度中に結論を得ることとされている費用対効果評価の本格実施などにより、適切な価格設定を行う努力をしていくことが適当との論点が提示された。
委員からも「予算や経済性で保険適用外にするのはいかがなものか。薬価制度改革の成果を見ながら考えるべき」など慎重な意見が多かった。