殺腫瘍細胞効果を白血病細胞で特異的に発揮
ファイザー株式会社は4月18日、「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)」の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体「ベスポンサ(R)点滴静注用1mg」(一般名:イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え))の発売を開始したと発表した。
画像はリリースより
ベスポンサは、CD22を標的にするモノクローナル抗体のイノツズマブと細胞傷害性化合物のカリケアマイシンを組み合わせることで、殺腫瘍細胞効果を白血病細胞で特異的に発揮するよう設計された日本で唯一の薬剤。臨床試験において、80%以上の高い寛解率を示し、治癒を目指すための造血幹細胞移植につながる可能性が高まることが期待されている。同疾患に対してベスポンサは、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されている。
欧米でもB細胞性ALLに対する希少疾病用医薬品として使用
ALLは急性白血病の一種で、予後は不良とされている。日本のALLの患者数は2005年に約3,000例、2008年に約4,000例、2011年に約5,000例、2014年に約5,000例と報告されており、近年増加傾向にある。現在の標準治療は長期的で強力な化学療法で、約20から40%の患者は現在の治療で治癒するとされているが、再発または難治性の成人ALL患者の5年生存率は10%以下と報告されている。
米国においてベスポンサは「再発又は難治性の前駆B細胞性ALL」の成人患者に対する薬剤として、米国食品医薬品局(FDA)のブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)指定および優先審査プログラムの下で審査され、2017年8月に承認された。欧州においては、「再発又は難治性のCD22陽性前駆B細胞性ALL」の成人患者に対する単剤療法として、2017年6月に承認されている。同適応には、フィラデルフィア染色体陰性(Ph-)だけでなく、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の再発または難治性の前駆B細胞性ALLも含まれており、Ph+のCD22陽性前駆B細胞性ALL成人患者の場合、少なくとも1種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬による治療が奏効しなかった場合に適応となる。また、米国では2013年3月、欧州では同年6月に、B細胞性ALLに対する希少疾病用医薬品の指定を受けている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース