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高齢者の認知機能低下、プロポリスに抑制効果-九大

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2018年04月20日 PM12:10

ミツバチが植物源から集めた樹脂製混合物「プロポリス」

九州大学は4月18日、プロポリスが健常な高齢者の認知機能低下や全身性炎症の改善効果をもたらすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究院の武洲准教授と倪軍軍助教の研究グループと、中国・青海省人民病院の朱愛琴教授、呉世政教授との共同研究によるもの。研究成果は、国際学術誌「Journal of Alzheimer’s disease」オンライン版にて掲載されている。

認知症は加齢によって有病率が高くなり、発症には慢性全身性炎症が関連することが知られている。しかし、認知症の60~70%を占めるアルツハイマー病には現在根本的な治療法がなく、全身性炎症の症状を低減する予防策が重要だ。アルツハイマー病では、ミクログリア活性化による脳炎症が神経細胞損傷ならびに老人斑のアミロイドβ(Aβ)の沈着を促進し、認知機能を低下させると考えられている。一方、慢性全身性炎症は、動物実験においては年齢依存性脳炎症を誘発し、臨床研究では認知機能を低下することが示されている。

近年、研究グループはミツバチが植物源から集めた樹脂製混合物であるプロポリスが歯周病菌の毒素による単球/マクロファージおよびミクログリアから炎症性因子産生を抑制すること、酸化ストレスによる神経細胞障害を保護することを見出していた。

プロポリス投与群でMMSEスコアが有意に改善

低酸素環境に住む高齢者の認知機能は著しく低下するため、今回の研究では、中国チベット高原(海抜2,300メートル以上)に住む健常な高齢者を対象に、プロポリスの認知機能ならびに全身性炎症への効果の検証を実施。60名の参加者(平均72.8歳)をプロポリス(0.83g、n=30)とプラセボ(n=30)の2群に分け(経口投与)、Mini Mental State Examination(MMSE)を用いて認識機能を、血清中のIL-1βやTGFβ1などの因子を用いて全身性炎症を評価した。


画像はリリースより

その結果、プラセボを服用した高齢者は24か月で認識機能が低下し、血清中IL-1βおよびIL-6の量は有意に上昇し、TGFβ1の量は有意に低下した。一方、プラセボ群と比較して、プロポリス投与群ではMMSEスコアを有意に改善。血清中IL-1βおよびIL-6の量は有意に低下し、TGFβ1の量は有意に上昇したという。さらにMMSEスコアは、IL-1βの減少および血清中のTGFβ1の増加と相関したとしている。

今回の研究により、アジア系高齢者における全身性炎症の悪化に伴い認識機能が低下すること、12か月以上のプロポリスの摂取が全身性炎症を低下させるとともに認知の低下を防ぐ可能性が示唆された。研究グループは、「継続が力になり、7年間にわたる天然物質であるプロポリスを用いた細胞レベルの研究成果がヒトで実証された。持続的なプロポリスの摂取も認知症の予防に期待できそうだ」と述べている。

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