新たなアクションプランでは、生涯現役社会の構築に向けたヘルスケア産業政策の方向性として、予防の取り組みを進めた場合の将来的な経済・社会へのインパクトの試算を行った結果を踏まえ、高齢者就労や街づくりなど、日常生活を構造的に変えるような取り組みや、直接的なインパクトが大きいフレイル・認知症に対する予防の検討を盛り込んだ。
個人の行動変容を促す仕組み作りとしては、健康経営等に貢献する効果的な行動変容サービスの開発、普及を図るため、IoT活用による糖尿病重症化予防の大規模臨床試験を継続するほか、その他の生活習慣病やフレイル、介護、メンタルヘルスの予防に適用できるか可能性を検討することを明記した。
さらに、国内に豊富に存在する健康・医療情報が民間でも医療分野の研究開発に安全、効率的に活用され、イノベーションが実現する環境を整備することが重要と指摘。これに向けて、医療関係者と民間企業の信頼構築や質の高いデータを活用した機器・サービスの創出などについて新たに検討を進めるとした。
生涯現役社会の実現に向け、重点的に取り組むべき分野の環境整備としては、生活習慣病などに対する一次予防、二次予防、三次予防の取り組みを官民一体となって進めていく必要性を指摘。「地域版協議会」を活用し、地域で医療・介護関係者と関係事業者が連携して、主に生活習慣病、癌、フレイル・認知症の二次予防、三次予防に着目したヘルスケアサービスの創出を支援することで地域における予防の促進と他地域への展開を目指すとした。
具体的に想定されるサービスとしては、生活習慣病の受診勧奨や特定保健指導を徹底するサービス、ICTを活用した通院アクセスの改善や癌検診の受診徹底や受動喫煙防止対策の推進サービス、就労機会や社会参画機会を生み出す「仕事付き高齢者向け住宅(仮称)」などを提示した。
予防に加えて、人生の最終段階において病気と共に生きる日常生活のQOLを支える選択肢を増やすサービスのあり方についても検討を進めるとし、具体的には終末期医療を支える公的保険外サービスの検討が進められる模様だ。