県内薬局の後発品促進における立ち位置を客観的に示し、課題を分析した「ジェネリック通信」の送付は、いわば調剤する側に対する働きかけとなるが、県内の病院に送付した「協会けんぽ通信」は、処方側へのアプローチとなる。
後発品の処方状況に関しては、「後発品数量割合」と「医薬品処方数量」のデータをもとに、自施設の院内処方・院外処方の後発品比率を割り出し、県内でどの位置にいるのかを明示。
院外処方については、調剤レセプトと医科レセプトを紐付けて一般名処方加算の件数を集計し、一般名処方割合が高い国立病院機構静岡医療センター(83.9%)、静岡市立静岡病院(70.3%)などとの比較も行っている。
ある大学病院の後発品数量全体における院内処方と院外処方の比率を割り出したところ、院内処方10.5%、院外処方89.5%だったため、院外処方の影響が大きいことを明示。
また、院内・院外処方別の後発品数量割合を分析したところ、院内85.8%、院外59.9%という結果で、比重が大きい院外が県内平均の69.2%を下回っていたため、後発品促進の課題が「院外での後発品処方にある」ことも示している。
また、病院からは、「出した処方箋がどこに行っているのか分からない」といった声もあり、処方箋の受け付け枚数が多い薬局トップ5とそれらの薬局での後発品調剤状況なども掲載。
中には、多くの処方箋を受け付けている割には、後発品の数量割合が50%台にとどまっている薬局もあるという。この場合、薬局側に課題があることになるが、病院で出した処方箋がどの薬局に行ってどう調剤されているのかが分かるため、薬局と病院がコミュニケーションをとる手段の一つになっているようだ。
各病院で後発品の置き換え効果が高い薬剤についても情報提供している。処方実績のある薬剤のうち、県全体の数量割合に影響を与える医薬品トップ10を院内、院外処方別に記載。影響度の高い薬剤を明示することで、課題を浮き彫りにし、より後発品を処方しやすい環境整備に貢献している。
長野豊支部長は、パイロット事業を通して、「後発品の使用をめぐって、患者が誤解している部分があればその誤解を解き、コスト面でのメリットを少しでも多くの患者に享受してもらい、県内の後発品促進に貢献できればいい」と語っている。
同支部では、今後、県内の複数の病院を訪問してヒアリングなどを行い、今後の事業活動に反映させたい考えだ。