事業開発プログラム「ASU」発の製品として初めて実用化
東北大学と株式会社ケディカは4月17日、歯科用セメントとタンパク質汚れを同時に除去清浄化する洗浄剤「ケディクリーンTZK」および、医療用シャワー式洗浄機用「ケディクリーンEX」を共同研究開発し、2018年4月より株式会社シバタインテックから販売を開始したと発表した。
画像はリリースより
ケディクリーンは、同大病院臨床研究推進センター(CRIETO)が運営する、医療現場での事業開発プログラム「アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)」発の製品で、初めて実用化に進んだもの。同大学病院内の洗浄滅菌した医療器具を供給する材料部で、根管治療に用いる歯科器具に固着する歯科用セメントの除去とタンパク質洗浄除去とを両立するアルカリ洗浄剤が強く求められていることを受け、開発されたという。
治療に用いたリーマ、ファイル類などの歯科器具に付着した固化血液などのタンパク質と歯科用セメントの除去には、多くの労力と時間がかかっている。これは、ある程度の汚れを用手洗浄除去したのち、専用メッシュ容器(球状茶こし)に入れ、自動シャワー洗浄機(WD)洗浄を行うが、WD洗浄のみでは汚れの完全除去には至らないため、次の滅菌処理を始める前に、目視で汚れ残り(特に歯科用セメント)をブラッシング除去する必要があるためだ。
他病院の協力も得て、洗浄清浄度と安全性を確認
今回開発されたケディクリーンは、超音波洗浄のみで汚れの完全除去が可能で、事前洗浄と汚れのブラッシング除去が必要ない。さらに、鋭利な医療器具にメッシュ容器への投入・取出しなどで直接触れる必要がなく、高い清浄効果が得られる。また、ケディクリーン TZKをベースにしたWD用無泡性洗浄剤であるケディクリーン EXを開発したことで、より幅広く洗浄機への対応が可能となった。
同洗浄剤の開発にあたっては、歯科生体材料学分野と共同研究を行い、洗浄対象材料への影響がないこと、洗剤の残渣のないこと、洗浄機の構成材料への影響がないことなど、多角的な調査を行い、データを蓄積。約3年を経て今回の販売に至った。その上で、洗浄剤の清浄度や洗剤残渣評価測定は、宮城県産業技術総合センターにおいても実施したという。また、東北大学病院での試用評価から全診療科の器具洗浄評価で良好な結果が得られたことから、ケディクリーンTZKは2016年12月より、ケディクリーンEXは2017年8月より定常使用している。さらに、同大病院での実績を基に、仙台市立病院、宮城県立がんセンター、他病院の協力を得て、WDと超音波洗浄機の洗浄評価を行い、洗浄清浄度と安全性を確認しているという。
同製品は、開発段階から宮城県内の病院での歯科洗浄剤ニーズや各社WDの使用状況調査を行い、製品化に協力している医療商社のシバタインテックが販売する。さらに、現在開発中の製品もあり、同大病院内で検証を続け、さまざまな用途に応じた製品を充実させていく予定としている。
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・東北大学 プレスリリース