エルロチニブまたはゲフィチニブと比較検討
英アストラゼネカ社は4月13日、上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性、局所進行あるいは進行転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療におけるタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)の有用性および安全性を検討した第3相国際共同「FLAURA試験」の新たな結果を発表した。このデータは、スイス・ジュネーブで開催された欧州肺がん学会(European Lung Cancer Conference:ELCC)にて発表された。
第3世代不可逆的EGFR阻害剤であるタグリッソは、EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害するように設計されており、中枢神経系(CNS)転移に対する臨床活性も有する。タグリッソ40mg錠および80mg錠1日1回経口投与は、EGFR T790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として米国、EU、日本、中国を含む75か国以上で承認されており、術後補助療法ならびに他の治療薬との併用療法においても現在承認に向けて開発中。
FLAURA試験は、前治療歴のある局所進行あるいは転移EGFR変異陽性NSCLC患者を対象とし、タグリッソ1次治療80mg1日1回投与の有効性および安全性を標準的な1次治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)(エルロチニブ[150mg1日1回経口投与]あるいはゲフィチニブ[250mg1日1回経口投与])と比較検討した試験。同試験は、二重盲検無作為化試験で、29か国の556例の患者を対象としている。
後続治療後も2次進行または死亡リスクをほぼ半減
FLAURA試験において、EGFR-TKI対照群と比較し、データカットオフの時点で治療を中止していた患者の数は、タグリッソ1次治療群のほうが少なく(49%対77%)、対照群の46%が後続治療を受けたのに対し、タグリッソ1次治療群ではその割合は29%だった。初回後続治療または死亡までの中央値は、タグリッソ1次治療群では23.5か月(95%信頼区間 22.0,NC)であり、エルロチニブまたはゲフィチニブ治療群では13.8か月(95%信頼区間 12.3,15.7)だった(ハザード比:0.51;95%信頼区間 0.40,0.64、p<0.0001)。
タグリッソ1次治療群のEGFR-TKI療法中止までの期間(中央値23.0か月、95%信頼区間 19.5,NC)は、2次治療においてタグリッソにクロスオーバーされた患者を含む対照群患者(中央値16.0か月、95%信頼区間 14.8,18.6)よりも長い結果を示したという。また、タグリッソ1次治療群の患者は、対照群の患者に比べて、2次病勢進行または死亡(PFS2)のリスクはほぼ半分だった(ハザード比:0.58,95%信頼区間 0.44,0.78、p<0.001)。
同試験におけるタグリッソ1次治療の安全性データは、過去の臨床試験と一貫した結果だった。同治療におけるグレード3以上の有害事象の発現率は標準治療であるEGFR-TKIsよりも低率であり(34%対45%)、忍容性を確認。患者に最もよく見られた有害事象は発疹(タグリッソ群58%[グレード3以上:1.1%]、対象群78%[グレード3以上:6.9%])、下痢(タグリッソ群58%[グレード3以上:2.2%]、対象群57%[グレード3以上:2.5%])、および乾燥皮膚(タグリッソ群36%[グレード3以上:1%未満]、対象群36%[グレード3以上:1.1%])だった。
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