同連携会議のもとに、感染症分野の医薬品等の途上国への提供を目指した「感染症分野における途上国展開に向けた研究会」を設置して検討したもの。研究会は、感染症情報を詳細に調査し、現地で展開するための課題と対応策を検討した上で、連携会議に報告する役割を担っている。
今回の報告では、アジアを中心とした途上国でのニーズや市場成長率が高く、治療方法や投与医薬品の決定方針に大きな影響を与えることから、IVDを途上国で展開させるべきとしている。
ただ、IVDを製造販売する国内企業は中小企業が多く、単独で情報収集を行うことが難しいなど、現地での展開に大きなハードルがあると指摘。課題の解決には業界が一体となって対応することが必要とし、日本臨床検査薬協会と日本分析機器工業会が合同委員会を設置し、情報収集、企業間の協力体制の強化、課題に対する政府への支援要望の集約などを行うことを求めている。
具体的には、途上国で承認が得られやすくなるよう、合同委員会で簡略審査の拡大・強化を求める優先国・対象分野を検討し、厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)と連携して簡略審査制度対象国の強化・拡大に向けた働きかけを行うよう求めた。
現地の医療市場に関する正確な情報の把握に努め、公的機関や私立病院などとのコネクションが医薬品の保険適用に大きく影響することから、日本政府の協力を得てこれらの組織の有力者と関係を構築する必要があるとした。
インフラが整備されていない途上国では、ユニセフなど大規模な調達を行う国際機関を通じた販路拡大と製品展開が有効なアプローチ方法となるため、国際機関の医療機器や検査キットの調達に関連する情報を収集、共有することとした。
政府に対しては、国際協力機構(JICA)などの政府系機関が構築した人材ネットワークの維持・活用、現地の大使館に医療産業に精通した担当官を配置することなどを通して、同委員会の取り組みをサポートすることを求めている。