長期間におよぶ結核治療で生じる問題
エーザイ株式会社は4月13日、米国のブロード研究所、コロラド州立大学のマイコバクテリア研究所、シカゴ大学と、新規結核治療薬の開発に向けた共同研究契約を締結したと発表した。
結核は、死亡者数が最も多い10疾患のひとつであり、2016年には、世界で1040万人が新たに結核に感染し、170万人が死亡したと報告されている。既存の結核治療薬は数十年前に導入されたもので、治療に6~9か月を要するため、世界の各地域で服薬順守の課題とともに、治療薬に対する耐性が生じるという問題が発生している。そのため、より短期間で治療可能な新規作用機序の新薬開発が喫緊の課題となっている。
トリプトファン合成酵素の阻害で、新規結核治療薬の開発をめざす
ブロード研究所は、マサチューセッツ工科大とハーバード大とが共同で運営する研究機関。創造的な科学者による医療変革を奨励するため、2004年に発足した。現在、40か国以上にわたる100以上の官民機関と連携している。
今回の共同研究プログラムでは、同研究所の多様性指向型合成(DOS)化合物ライブラリーから同定された化合物群を用いて、結核治療薬としてより優れた化合物をデザインした。この研究により、結核菌の生存に必須の酵素「トリプトファン合成酵素」を阻害する新規作用機序により、抗結核作用を発揮する化合物の創出をめざしている。
なお、同プログラムは、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の助成金交付対象として採択され、アドバイザーを低価格の結核治療薬開発をめざす非営利団体であるTBアライアンスが務めている。
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