アジアの再生医療関連団体が集まり、各国間の規制調和を検討する初の国際会議「第1回アジア再生医療団体連携会議(APACRM)」が11日、都内で開催された。再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の呼びかけによって開催された会議では、再生医療等製品における薬事環境が各国で異なる中、前臨床試験から臨床試験、承認申請までをアジアで共有化する環境を整備し、各国での承認申請をスムーズに実施することや、臨床試験のコスト削減をアジア全体で目指していくことに合意した。
FIRMの戸田雄三会長(富士フイルム副社長)は12日、都内で記者会見し、アジアで唯一、再生医療に特化した法規制を持つ立場から、「リーダーシップをどうやってとっていけばいいかの議論もできた」とし、アジアの再生医療に関する規制調和でも牽引役を担いたい考えだ。
第1回目となったAPACRMでは、日本、中国、韓国、台湾、インド、シンガポールの六つの再生医療関連団体と、日本、韓国、台湾、インドの規制当局が参加。医薬品の承認申請制度では、米FDAと欧州EMAが強い影響力を有する中、再生医療等製品ではアジアで統一した制度の構築を目指している。戸田氏は、「サイエンスの成果を1日も早く、低コストで、信頼を得た上で患者さんに届けるのがわれわれの役割。日本のみならずアジア諸国でも展開していきたいということで合意した」と語った。
会議では、FIRMが前臨床や臨床試験のデータを各国で活用できる環境の構築を提案したほか、創薬から製販後調査(PMS)に至る過程で実施しないといけない品質管理や安全性・有効性評価、用語の統一化などを参加団体で確認した。
また、日本の「条件及び期限付き承認」「先駆け審査指定制度」のように、安全性が認められ、有効性が推定されている製品に関しては、早期に承認を与える制度も話題となり、鈴木邦彦副会長(メディネット副会長)は「(会議に参加した)ほぼ全ての国が既に導入している、または導入を検討していた。先行する日本の制度に合わせている」と述べ、アジア各国が日本の制度を高く評価していることを強調した。
第2回APACRMは来年、都内で開催する。今後1年間で規制調和に向けた具体的な方向性を検討し、第2回APACRMで議論を発展させていく予定だ。