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骨格筋の再生促進に必要なヒストンタンパク質「H3mm7」を同定-九大

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2018年04月16日 PM12:45

2015年に発見されたヒストン亜種のひとつ

九州大学は4月12日、マウスの骨格筋の再生を促進するのに必要な新たなヒストンタンパク質を発見したと発表した。この研究は、同大生体防御医学研究所の大川恭行教授、原田哲仁助教、前原一満助教らと、早稲田大学の胡桃坂仁志教授、東京工業大学の木村宏教授、徳島大学の竹本龍也教授、長崎大学の小野悠介准教授の研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Nature Communications」で公開された。


画像はリリースより

ヒストンは、遺伝情報が記された全長2メートルもの糸状のDNAを数マイクロメートル以下の細胞核内に効率よく格納するために必要な糸巻きとして機能するタンパク質。研究グループは2015年に、ヒストン亜種を新たに14種類発見していたが、これらの機能はよくわかっていなかった。

H3mm7遺伝子欠損マウス、損傷後の筋肉再生が遅延

今回、研究グループが発見したヒストン亜種のうち、「」と名付けたヒストンが筋肉の再生に重要であることが判明。H3mm7は、マウスの筋肉(骨格筋)中にわずかに存在する筋幹細胞に多く含まれているという。

筋幹細胞は、筋損傷が生じると速やかに増殖し分化することで、短時間に筋肉を再生する。これにより、生体内で最大の体積を占める筋肉の恒常性が保たれている。しかし、H3mm7遺伝子を欠損したマウスでは、筋幹細胞の数は変化せずに、損傷後の筋肉の再生が遅延することが明らかになったという。その後の解析により、ヒストンH3mm7が筋幹細胞内でDNAを緩めることで、細胞内の遺伝子を働きやすくする作用があることが判明したという。

ヒストン亜種は、主要なヒストンとDNA配列から類似性が高く区別が難しいことから、その存在が見過ごされてきた。今回の研究成果は、これらヒストン亜種がヒトの体を形成する細胞や組織の筋再生などの恒常性維持に機能している可能性を示唆している。研究グループは、「今後、これらの機能破綻により引き起こされる疾患の発見や治療法の開発が期待される」と述べている。

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