四肢末梢血行にトラブルを抱えた人が急増
小林製薬株式会社と同社の連結子会社の桐灰化学株式会社、大阪大学は4月10日、同大大学院医学系研究科に、温熱治療の共同研究を行う「血管作動温熱治療学共同研究講座(産学連携・クロスイノベーションイニシアティブ)」を4月1日付けで設置したと発表した。
閉塞性動脈硬化症・バージャー病・糖尿病・レイノー症候群などの四肢の血流が悪化する末梢血行障害に悩む患者は多い。炎症や動脈硬化により血管が詰まってしまうものや、血管が強く収縮するために血流が悪くなるものなど、それぞれ発症の原因は異なるが、日常生活が制限され、悪化すると指先の皮膚に穴があく指尖潰瘍や、組織の一部が死ぬ壊死に発展することが知られている。
これらの患者に対する薬物療法や外科的療法はあるものの、より安全で有効な治療方法が望まれている。一方、食生活の欧米化や加齢に伴い、手足の冷えを訴える健常者も増えており、四肢末梢血行にトラブルを抱える人口の増加が懸念されている。
共同研究で末梢神経障害のメカニズム解明・治療法の確立を
物理療法のひとつである温熱療法に血管拡張作用があることは古くから知られているが、どの部位をどのように加温するか、科学的に検証されたデータは多くない。そこで同講座では、「カイロ」の研究・開発技術を応用し、温熱の血管拡張作用について適切な加温部位・加温方法の研究を行なったうえで、末梢血行障害のメカニズム解明、ならびに温熱を用いた新規治療法の確立を目指すとしている。
桐灰化学は、防寒用や医療機器カイロなどの開発・販売を行う小林製薬の連結子会社で、日本における使い捨てカイロの売上、およびメーカーシェアはトップクラス。カイロのメインパフォーマンスである温度を自在にコントロールすることで目的に合った温度を設計し、安全で安心な製品を製造している。
同大の共同研究講座は、企業などの外部組織から資金、研究者などを受け入れ、大学内に設置した研究組織。同大教員と企業研究者とが対等な立場で共通の課題の研究を行うことで、優れた成果が生まれることを促進する制度である。今回の共同研究講座では、医学系研究科が推進する産学連携・クロスイノベーションイニシアティブによるクロスイノベーションの推進の一環として研究が行われる。
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・小林製薬株式会社 ニュースリリース