TTR-CMの治療薬としての適応を目指すタファミジス
米ファイザー社は3月29日、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(TTR-CM)を対象にタファミジスを評価する第3相ATTR-ACT試験において、タファミジスが主要評価項目を達成したと発表した。
TTR-CMは、進行性心不全を伴う死に至る希少疾病であり、見逃されていることが多い現状である。TTR-CM患者の平均余命は、診断後わずか3~5年間。現時点におけるTTR-CMの有病率は不明だが、実際に適切な診断を受けている患者は1%未満と考えられており、同疾患を適応症として承認された薬物治療はまだ存在しない。
死亡・心血管事象での入院回数を組み合わせた評価項目で良好な結果を示す
ATTR-ACT試験は、多施設国際共同第3相二重盲検プラセボ対照・無作為化3群間比較臨床試験。441名の患者を対象に、1日1回20mgまたは80mgのタファミジスメグルミンカプセルを経口投与し、有効性、安全性および忍容性をプラセボと比較評価した。試験には、遺伝性の変異型を有する遺伝性と、老化に伴って発症する野生型、両方の患者が登録された。
その結果、タファミジスは30か月目の時点でプラセボと比較して、原因を問わない全ての死亡および心血管事象による入院回数を組み合わせた複合評価項目において、統計学的に有意な減少を示した。さらに、現時点で解析した安全性データによると、タファミジス群の忍容性はおおむね良好であり、未知の安全性上の問題は認められなかったという。
2011年、タファミジスは、EUおよび米国においてTTR-CMを対象にオーファンドラッグ(希少疾病医薬品)指定を受領。2017年6月、米国食品医薬品局(FDA)は、TTR-CMを適応としたタファミジスを迅速審査の対象に指定し、また、2018年3月、日本の厚生労働省は、同疾患を適応としたタファミジスを先駆け審査の対象に指定した。なお、日本においてタファミジスメグルミン(製品名:ビンダケル)は、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制」の適応で、2013年9月に製造販売承認を取得し、同年11月から発売を開始している。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース