炎症に関わる因子を抑制する核酸医薬であるキメラデコイ
アンジェス株式会社は4月9日、大阪大学と共同で研究を進めている核酸医薬であるNF-κBデコイオリゴDNAおよび次世代型キメラデコイについて、喘息治療に関する新たな研究結果を発表した。研究成果は、核酸医薬の専門誌「Molecular Therapy–Nucleic Acids」に掲載された。
NF-κB(nuclear factor-kappa B)は、活性酸素による酸化ストレスなどの刺激が外部から加わった時に、細胞が炎症反応や免疫反応を引き起こすために活性化する主要な転写因子。NF-κBの過剰な活性化は、アトピー性皮膚炎、乾癬、関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。
キメラデコイは、炎症に関わる二つの重要な因子であるSTAT6とNF-κBを同時に抑制する働きを持った核酸医薬である。
喘息の原因である炎症を引き起こす生体内物質増加を抑える
今回、マウスを使った動物実験でキメラデコイを気管内に投与した結果、喘息の原因である炎症を引き起こす生体内物質の増加を抑え、気管内の炎症を抑制する効果があったことなどが報告された。この結果は、キメラデコイが喘息に対する有効な予防薬、治療薬となる可能性を示唆するものだとしている。
同社では、NF-κBデコイオリゴDNAにつき椎間板性腰痛症治療薬として米国における第1b相臨床試験を2018年2月より実施している。従来のNF-κBデコイオリゴDNAに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されている次世代型キメラデコイについても、研究・開発に引き続き取り組んでいきたいとしている。
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・アンジェス株式会社 ニュースリリース