厚生労働省は5日、強い催奇形性を有する多発性骨髄腫治療薬のサリドマイドと類薬のレナリドミド、ポマリドミドについて、胎児への曝露防止を目的とした安全管理手順の改訂案を「サリドマイド・レナリドミドの安全管理に関する検討会」に示し、概ね了承された。患者の死亡などにより、薬剤の回収が難しい場合は薬剤師に返却しなくてもよいことなどを追記する。6月の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会で審議後、今夏をメドに改訂を行う方針だ。
サリドマイドなどの薬剤では、患者の妊娠回避を徹底するため、安全管理手順の実施を義務づけている。改訂案では、薬剤管理を行う薬剤管理者を設置していない患者について、高齢化などで管理が難しくなったケースへの対応を記載していないことから、家族や親戚などのうち同剤のリスクに関する知識を持つ人を薬剤管理者に設置できることを追記した。
治療の中止によって不要な薬剤が発生した場合は薬剤師に返却する必要があるが、患者が死亡するなど回収が難しく、第三者への曝露リスクが見込まれないと判断された場合は返却しなくてもよいことにする。
サリドマイドの安全管理手順では、妊娠可能な患者に対してパートナー男性の情報を製造販売業者に提供することを義務づけているが、これについては胎児への曝露防止につながらないと判断し、廃止する。
また、この日の会合では、薬剤管理を適切に行っているかなどを男女の患者がチェックして医師に提出する定期確認票について、妊娠防止に役立っていないなどの声が安全管理手順の評価委員会から上がっていることを踏まえ、廃止するかどうかを議論した。
ただ、委員から「判断材料が少ないので、廃止すべきか悩ましい」「確認票が実際に役立っているかを調査する必要がある」などの意見が出たことから、厚労省が今年度中に研究班を立ち上げ、確認票の効果を2年間調査した上で、再度検討することとした。
調査期間中は、閉経などで妊娠の可能性が小さい患者は確認票を提出しなくてもよいとした。妊娠可能な患者と男性患者は引き続き確認票を提出する必要があるものの、患者と医療者の負担軽減を考慮して提出先を薬剤師に変更し、薬剤師が必要と判断した場合に限り確認票の内容を医師に報告する。