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遺伝子変異が強く関わる脳性麻痺様患者の一群を特定-東北大

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2018年04月05日 PM01:00

小児の運動障害の最多原因である脳性麻痺

東北大学は4月3日、原因不明の脳性麻痺と診断された患者()のうち、脳の画像所見にとくに異常がなく満期産で出生した患者群において、神経発達疾患をひきおこすとされる遺伝子変異を約半数(17名中9名)に特定したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科小児病態学分野の呉繁夫教授、竹澤祐介医師、同大学病院小児科の菊池敦生助教、宮城県立こども病院の萩野谷和裕副院長らの研究グループによるもの。研究成果は米医学誌「Annals of Clinical and Translational Neurology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

脳性麻痺は小児の運動障害の最多の原因であり、日本では年間1,000~2,000人が発症していると推定されている。その症状の種類や程度、原因はさまざまで、患者に与える影響や必要な医療的介入の方法も個々に大きく異なる。

以前は、脳性麻痺の原因の大部分が感染症や低酸素などの出生前後の環境の異常によるものと考えられていたが、近年、脳性麻痺の定義を満たす脳性麻痺様患者の一部では、遺伝子変異や染色体の構造変化といった遺伝的要因が関わっており、脳性麻痺に酷似した遺伝性疾患であることが指摘されている。しかし、どのような特徴をもつ脳性麻痺様患者で遺伝的要因が関わっているかはよくわかっていない。

遺伝的変異の大部分は両親からの遺伝ではなく新たに発生したもの

研究グループは、宮城県立こども病院で診察している脳性麻痺・脳性麻痺様患者897例の中でも、満期産で出生し、頭部MRI画像で明確な異常を認めない患者により多く遺伝的要因が関与していると仮定。そのような特徴を持つ原因不明の脳性麻痺様患者17名とその両親について遺伝子解析を行った。マイクロアレイCGH解析およびトリオ全エクソーム解析を行った結果、9名の患者に遺伝子変異があることを確認。また、確認された遺伝的変異の大部分は両親からの遺伝ではなく、新たに発生したものであることが明らかになったという。

今回の研究結果は、多様な背景をもつ脳性麻痺・脳性麻痺様患者において、ある同じ条件に当てはまる患者に対して遺伝学的検査を進める根拠のひとつになるという。研究グループは、遺伝子変異が判明した場合、個々の病態にあわせた適切な医療的介入を行えることが期待されるとし、脳性麻痺やそれに酷似する遺伝性疾患全体の将来的な病態解明や治療法の開発の促進に寄与するものとしても期待される、と述べている。

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