「NEC the WISE」の音声認識技術を活用
シミックホールディングス株式会社は4月2日、iPhoneアプリによる治験支援システムに、日本電気株式会社(NEC)の最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである音声認識技術を活用した音声認識ソリューションを導入したと発表した。
医薬品開発で必要とされる臨床試験では、被験者の身長や体重、服用している薬剤、検査値など大量のデータ入力業務が発生する。これまで治験施設支援機関(SMO)では、これらのデータをパソコンで手入力してきたため、打ち間違いや入力漏れなどの可能性があった。こうしたミスを防ぐために、複数の治験コーディネーター(CRC)や治験監督者が入力データの再確認を行う必要があり、これらの非効率・煩雑な業務が課題となっていた。
4月から全CRCが同システムを使用
シミックは、音声認識技術を活用し、SMOの音声による治験データ入力や業務進捗管理に対する実証実験を2018年3月から開始しており、SMOのCRC50名が同システムを使用している。2018年4月からは、日本全国の全CRCが同システムを使用し、業務効率化や質の向上について検証する予定だという。
今回、シミックとNECが共同で開発した音声支援システムには、データの入力ミスや漏れが起きにくい工夫が施されている。音声ガイダンスが必要な情報名を挙げ、ある項目の入力が済むまで、次の項目に移動できない仕様だ。また、通常の数値から明らかに逸脱しているデータを入力した場合、音声によって警告する事で、入力間違いを減らすことも可能としている。
今後両社は、入力されたデータをAIで解析することにより、治験の効率化だけでなく、質の向上なども図っていく考えだ。また、それらにCRCのノウハウを組み合わせることで、副作用が起こりやすい、薬剤の飲み忘れが起きやすいパターンなどを検知できるようになり、患者および医療者に注意喚起できるような仕組みを開発する予定としている。
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・シミックホールディングス株式会社 ニュースリリース