リキッドバイオプシーによる個別化医療実現を目指して
シスメックス株式会社は3月29日、リキッドバイオプシーによる個別化医療実現を目指して「研究用全自動高感度免疫測定装置HI-1000」を発売すると発表した。
画像はリリースより
リキッドバイオプシーは、血液や尿などの体液中に存在する病気由来の成分(遺伝子、タンパク質、細胞など)を測定し診断などに活用するもの。病巣から血液や体液中に放出されたごく微量の成分を検出する必要があるため、腫瘍など組織の一部を採取して行っていた従来の生体検査より高感度な測定技術が求められる。
血液や体液中のタンパク質を測定する技術のひとつである免疫測定法は、すでに感染症、がん、心疾患などの診断から治療経過観察まで、臨床における免疫検査として幅広く利用されている。シスメックスは、2007年には化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を測定原理とした「全自動免疫測定装置HISCL-2000i」を発売するなど、免疫検査の高感度化や迅速化を実現する測定装置および試薬のラインアップ拡充を進めてきたという。
困難だったごく微量な血中バイオマーカーの測定を実現
今回発売するHI-1000は、CLEIAをベースに、非特異結合由来のバックグラウンドノイズを低減することにより高感度を実現する免疫複合体転移法を搭載した研究用全自動免疫測定装置。免疫複合体転移法は、測定対象を含む免疫複合体(抗原抗体反応の結合物)をビーズなどの担体に形成させた後に、複合体の形を保ったまま担体上から解離させ、次に解離した免疫複合体を別の担体で捕らえて、測定を行う方法だ。
従来法と比較して、数十倍から数千倍の高感度化を実現することで、pg/mL未満のタンパク質を検出することが可能となり、これまでは困難だったごく微量な血中バイオマーカーの測定を実現するという。また、反応時間や温度など複数のパラメータを任意で設定可能な仕様とすることで、ターゲットとするバイオマーカーに適した測定が可能となるとしている。
今後は、HI-1000で自動測定するために必要となる試薬開発や測定条件の設定や、自社リコンビナントタンパク質生産技術を活用した試薬開発のための原料開発や生産に加え、開発した試薬を用いたエビデンス蓄積のための測定受託など、さまざまなサービスの提供を予定しているという。
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