新規血液透析導入患者に最も多いDKD
協和発酵キリン株式会社は3月28日、低分子化合物「バルドキソロンメチル(開発番号:RTA402)」について、糖尿病性腎臓病(DKD)を対象に、厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたと発表した。
DKDは、糖尿病に起因し、新規に血液透析を導入する患者に最も多くみられる慢性腎臓病(CKD)。CKDは、放置すると腎機能の低下とともに末期腎不全となり、最終的に慢性透析療法や腎移植が必要となる。腎機能低下には、過剰な酸化ストレスや炎症が関与することが知られている。
先駆け審査指定制度は、画期的な新薬などを日本で早期に実用化することを目的として、その開発を促進するために創設された制度。原則として既承認薬と異なる作用機序により、極めて高い有効性が期待される医薬品が指定され、指定された品目は、薬事承認にかかわる相談・審査における優先的な取扱いを受ける。
転写因子「Nrf2」を活性化する低分子化合物
バルドキソロンメチルは、協和発酵キリンが2009年に米リアタ ファーマシューティカルズから導入した。日本、中国、台湾、韓国および東南アジア諸国における腎疾患等を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結している。
同剤は、体内のストレス防御反応で中心的な役割を果たす転写因子「Nrf2」を活性化する低分子化合物。広範な抗酸化ストレスおよび抗炎症作用により、腎機能を改善させると考えられている。国内で実施された第2相臨床試験(TSUBAKI試験)では、バルドキソロンメチルがイヌリンクリアランス法により測定したGFR(腎機能)を明確に改善することが示された。
現在、協和発酵キリンは、同剤の有効性および安全性を検証するための第3相臨床試験の開始に向け、準備を進めている。
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・協和発酵キリン株式会社 ニュースリリース