期間短縮と開発コスト削減、成功確率向上目指す
田辺三菱製薬株式会社と株式会社日立製作所は3月26日、新薬開発における臨床試験の効率化に向けた協創を開始したと発表した。両社は、臨床試験全般の幅広い業務において、日立のAIなど先進のデジタル技術を用いて臨床試験を効率化し、新薬開発の期間短縮と開発コスト削減、および成功確率向上を目指すという。
画像はリリースより
国内の新薬メーカーの事業環境は、薬価の引き下げやジェネリック医薬品の大幅なシェア拡大により、今後さらに厳しくなると予想される。継続的な事業の成長に向けて、アンメット・メディカル・ニーズに応える新薬を早期に開発するためのプロセスの見直しが求められている。特に、新薬の有効性や安全性を検証する臨床試験は、新薬開発の成否を左右する重要なプロセスだが、精緻な実施計画の立案が求められるため、多大な時間と熟練者の知識・経験を元にしたノウハウが必要だった。
情報収集時間を約70%短縮、正確性も検証
田辺三菱製薬と日立は、臨床試験の計画段階において、医学論文やClinicalTrials.govなどからの専門的な医学情報の検索・収集に多くの時間を要していることに着目。2017年初めから共同で情報検索・収集の自動化を検討したという。
その結果、医療向けの自然言語処理やディープラーニングなどのAI技術を活用することで、従来の作業と比較して情報収集時間を約70%短縮できることを確認。また、収集・整理されたデータの正確性も検証し、十分に活用できる見通しを得たとしている。
この結果を受け、田辺三菱製薬と日立は臨床試験全般の幅広い業務の効率化に向けた協創を開始。両社の技術・ノウハウを生かし、AIをはじめとした先進デジタル技術を用いて、臨床試験の効率化に取り組んでいくという。また、将来的には協創範囲を拡大し、さまざまな実証実験を行う予定としている。
なお、日立は今後、協創を通じて開発したソリューションをベースに汎用化したソリューションコアの第一段階として、IoTプラットフォーム「Lumada」を活用した医学文献などからの情報収集を自動化する技術を、2018年度から順次、国内外の製薬業向けに広く提供するという。
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・田辺三菱製薬株式会社 ニュースリリース