厚生労働省は22日、慢性腎臓病(CKD)について、2028年までに新規透析導入患者数を年間3万5000人以下に減少させるなどの目標を盛り込んだ報告書の骨子案を腎疾患対策検討会に示し、概ね了承された。地域の医療提供体制を整備すると共に、人材育成についてはCKDの基本的知識を持った薬剤師等の医療職から腎臓病療養指導士を育成し、かかりつけ医と連携を推進することなどにより目標を達成させる考えだ。特に腎臓病療養指導士の育成に関して、構成員から「地方の薬剤師の活用が必要」との意見が出た。
骨子案では、年間の新規透析導入患者数を16年の3万9344人から28年までに3万5000人以下に減少させること、全ての患者が早期に適切な診療を受けられるように地域における診療体制を充実させることなどを打ち出した。
これら目標を達成するため、▽診療水準の向上▽人材育成▽研究開発の推進▽普及啓発▽地域における医療提供体制の整備――に取り組むことを明示。
診療水準の向上では、関連学会が協力してガイドラインなどを作成し、CKD診療に関わる全ての医療者がガイドラインの推奨する治療を行うこととした。人材育成については、専門医の偏在・不足に対応するため、薬剤師、看護師等の医療職から腎臓病療養指導士を育成し、かかりつけ医との連携を推進することとし、評価指標に地域別の腎臓病療養指導士数、同指導士と関連する療養指導士間の連携事例数を示した。
研究開発の推進では、国の医療分野研究開発推進計画などの中長期的な目標を踏まえた研究に産官学で取り組む。具体的には、効果的な新規治療薬の開発などを進める。
構成員からは、「新規透析導入患者の目標数は高齢者が減少すれば可能だが、実際は厳しい」との指摘や、「CKDの医療提供体制は地域格差が非常に大きいのが現状で、腎臓病療養指導士の育成については地方の薬剤師の活用が必要」などの声が上がった。
次回会合でも骨子案の内容を検討した上で、5~6月をメドに報告書を取りまとめる予定。