■巨額の廃棄実態も明らかに
注射用抗癌剤について、一つのバイアルを2人以上の患者に分割使用する薬剤バイアル最適化(DVO)の検討が広がってきている。分割使用した試算結果からは、全国の医療機関における抗癌剤の廃棄実態が相次ぎ判明し、数千万円単位の薬剤費削減効果が得られると結論づけられている。まだ現時点で安全性の検証が大きな課題として残るが、無菌状態を保つ閉鎖式薬物輸送システム(CSTD)を用いた検証も着実に進んでいる。厚生労働省は、安全基準に関するガイドラインを検討中で、国が一定の基準を示すことにより、抗癌剤の分割使用は一層加速する可能性が高まってきた。
横浜南共済病院(横浜市金沢区)では、抗癌剤の廃棄金額、CSTDのコスト、無菌製剤処理料を算出。安定性が3時間以内の薬剤を除外し、分割使用できる期間を7日間とした上で、CSTDを用いて分割使用した場合としない場合を比較した。