統合失調症発症の好発時期であるAYA世代
東京大学医学部附属病院は3月20日、同院の精神神経科でこれまで培ってきた統合失調症治療体制を集約し、AYA(Adolescent and Young Adult)世代の統合失調症患者治療に特化した「統合失調症AYA世代センター」を開設すると発表した。統合失調症当事者に対して成人期モデルによる治療提供は、これまでも全国で行われてきたが、AYA世代に特化した集学的治療や包括的ケアのための専門診療センターの開設は日本初。
画像はリリースより
近年、思春期・若年成人世代にあたるAYA世代の医療の充実が主張されることが増加し、先天性疾患や慢性小児疾患患者、小児がん領域などにおいてAYA世代の医療・ケアの充実が注目されつつある。AYA世代の健康生活が損なわれる最大の要因は精神疾患であり、なかでも統合失調症の発症は好発時期にあたる。統合失調症は発症初期に適切に治療、支援を行うことが重要と言われている。
4月からの開設に向けて準備中
統合失調症AYA世代センターは、AYA世代にある統合失調症当事者の急性期治療からリハビリテーションまでを一貫して多職種協働で行うことを目標とする。統合失調症とすでに診断され治療を受けていて、さらにより専門的な医療を希望する人や、統合失調症に類似の症状が出現し、苦痛や困難を抱えている人に同センターに外来初診し、対象者の病状により、発症前駆状態と考えられる人には「こころのリスク外来」、発症後であれば統合失調症専門外来へとつなぐ。そして、外来での医学的評価を経て、専門入院プログラムを導入する場合と、外来治療を続ける場合とに大別されるという。
また、新しく設置された専門入院プログラム(ディスカバリープログラム)では、各種検査・正確な診断・ 本人の希望の確認・生活能力の評価・生活リズムの改善・薬物療法の適正化・セルフマネジメントプランの作成・社会資源の導入などを包括的に実施。退院後には、同院のデイホスピタル、作業療法の利用や地域医療・福祉資源の導入などにより、就労、就学など社会復帰を目指す。
なお、同センターは4月からの開設に向けて準備が進められている。受診方法などは4月初旬より東大病院ホームページで案内するとしている。
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・東京大学医学部附属病院 プレスリリース