厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は16日、スイッチOTC薬の候補となる5成分を評価し、H1ブロッカー点眼薬「レボカバスチン塩酸塩」を目のかゆみに限ってOTC化を妥当と判断したが、尋常性乾癬治療薬の「カルシポトリオール」は「不可」とし、「オメプラゾール」などプロトンポンプ阻害剤3成分は「OTC化するには強力すぎる」「欧米では特に大きな問題は起きていない」と意見が分かれ、次回会議で再審議することになった。
PPIの3成分について日本消化器病学会は、14日以内の短期使用であればOTC化は妥当としているが、日本臨床内科医会は急性腎障害などの有害事象が報告されていることから、安全性が担保されない限り「不可」との見解を示している。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)も、「生体バリアを破壊してしまうなどOTC化するにはあまりにも強力だ。薬剤師の管理が十分でないなどの実態もある」と否定的な意見を述べた。
これに対し、乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は「薬剤師がきちんと管理できると確信している。欧米ではOTC化後、特に大きな問題は起きていない」と反論。これら意見を踏まえ、次回会議で再度審議した上で結論を出すこととした。
レボカバスチン塩酸塩については、結膜炎と目のかゆみを効能・効果とするOTC化の要望が出ていたが、日本眼科学会などはウイルス感染による重症化につながる恐れから、結膜炎に使用することは「不可」とし、アレルギー性結膜炎による目のかゆみの緩和に限定して使用する場合は「可」との見解を示した。
これらを踏まえ、目のかゆみに限定して「可」とし、OTC化の留意事項として、1週間以上使用して改善がなければ専門医の診察を受けることとした。
また、カルシポトリオールは、日本皮膚科学会などが高カルシウム血症の副作用リスクを考慮すると医師の管理が必要などの見解を示していることから、OTC化を「不可」とした。
一方、前回会議で議論し、既にパブリックコメントを終えた8成分についても再審議したが、眼の殺菌・消毒・洗浄の「ヨウ素・ポリビニルアルコール」のみOTC化を「可」とし、その他の成分を「不可」とする判断は変わらなかった。