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インターフェロン治療終了後の発がんを肝星細胞が助長する可能性-大阪市大

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2018年03月16日 PM01:45

ウイルス排除後も完全にはなくならない発がんリスク

大阪市立大学は3月14日、インターフェロンによるウイルス排除後にがんを発症したケースでは、肝臓の星細胞が活性化し、肝線維化が進むことを世界で初めて報告したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科肝胆膵病態内科学の元山宏行病院講師らのグループによるもの。研究成果は、科学誌「PLOS ONE」に掲載されている。


画像はリリースより

)の治療には長年、サイトカインの一種であるインターフェロンが用いられてきており、ウイルスを排除することで、肝線維化改善や発がん抑制といった効果が得られると報告されている。しかし、ウイルスが排除された後も肝発がんのリスクは完全にはなくならず、ウイルス排除後5年・10年の発がん率は、それぞれ 2.3~8.8%、3.1~11.1%と報告されている。

ウイルス排除後の肝発がんの大きな要因は、肝線維化であることが報告されているものの、その理由は明らかにされておらず、ウイルス排除後の肝発がんのメカニズムや病理組織学的解析が求められている。

発がん群では線維化の改善乏しく

研究グループは、大阪市立大学医学部附属病院にて、インターフェロン治療によってウイルス排除が得られた654例のうち、治療前後に肝生検を実施した非発がん群23例と、外科的切除をした発がん群11例の、治療前後の組織像を比較検討。その結果、肝組織像において、炎症は両群とも改善しているのに対して、線維化については発がん群では、非発がん群に比べて改善が乏しいことが判明。加えて、年率の線維改善率も発がん群では有意に低いことが明らかとなった。

また、肝組織内の線維(コラーゲン)量と活性化星細胞について、活性化星細胞マーカーとしてサイトグロビン(CYGB)とα-Smooth Muscle Actin(α-SMA)を使用し、免疫染色を行い比較検討。その結果、非発がん群では治療前に観察されていた活性化星細胞(CYGBおよびα-SMA)は著しい減少が見られ、活性化していない星細胞が多く観察された一方、発がん群では線維量およびα-SMA量ともに改善が乏しい結果になったという。

最後に、画像解析ソフトで肝生検および肝切除時の肝線維量とCYGBおよびα-SMA陽性細胞数を定量化した結果、非発がん例では発がん例と比べ、SR染色では肝線維化が顕著に改善し、活性化星細胞数(CYGBおよびα-SMA陽性細胞)は治療後には明らかに減少していた。α-SMA染色では、有意差はないものの、いずれも改善傾向だったという。これらの結果から、星細胞には線維化改善を妨げ、発がんを助長する可能性があると示唆された。

現在、主流となっている直接作用型抗ウイルス剤()の内服治療は、適用範囲が肝硬変までと広く、また100%に迫る確率でウイルスを排除することが可能となっているが、インターフェロン治療後と同様に線維化が改善せず、がん化する可能性がある。研究グループは、「今後はこの飲み薬による治療でウイルス排除が認められた後の状態においても同様の検証を行う予定」としている。

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