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【がんセンター】血液用いた遺伝子解析検証、臨床研究スタート

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2018年03月16日 AM10:15

国立がん研究センターは、消化器癌患者の血液を用いた遺伝子解析の有用性を検証する臨床研究を開始した。73種類の遺伝子変化を一度に測定できる高感度なアッセイを導入し、約2000人の患者を対象に遺伝子異常の有無を調べる。特定の遺伝子異常が発見された患者は、遺伝子異常に対応する新薬の臨床試験に参加できる可能性があるという。血液を用いた遺伝子解析の有用性を検証することで、将来的な個別化医療の実現を目指す。

臨床研究は、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「 GI-SCREEN」の研究として実施するもの。消化器癌では、様々な遺伝子異常の発見が治療薬開発につながってきた。実際、抗EGFR抗体の大腸癌治療薬「セツキシマブ」「パニツムマブ」は、RAS遺伝子に異常があると効果が期待できないため、投与前にRAS遺伝子検査が行われている。これら遺伝子異常を解析するためには、これまで侵襲の大きい腫瘍組織の生検を行う必要があり、患者に負担がかかるだけでなく、複数箇所や繰り返し生検をして遺伝子を解析することは難しかった。

こうした中、研究グループは、腫瘍DNAの断片が循環している血液を採取して、低侵襲に遺伝子を解析することで生検の課題を克服できる可能性から、新たに同事業の関連プロジェクトとして、消化器癌・腹部悪性腫瘍患者を対象に血液を用いた遺伝子解析の有用性を検証する臨床研究をスタートさせた。

73種類の遺伝子の変化を一度に測定できる新規アッセイを導入し、消化器癌患者の血液から癌に関連するBRAF、、METなど73の遺伝子異常の有無を調べる。まず、過去に抗EGFR抗体による治療を行った大腸癌患者約200人を対象とし、その後すべての消化器癌患者約2000人に対象を拡大し、血液を用いた遺伝子解析の有用性を確認する予定である。

今回の臨床研究により、特定の遺伝子異常が発見された患者については、遺伝子異常に対応する新薬の臨床試験に参加できる可能性があるという。癌治療につながる血中の遺伝子異常や腫瘍組織の遺伝子異常との違いが明らかにされ、癌の遺伝子異常の変化の解明が進めば、血液を用いた遺伝子解析による個別化医療の実現が可能となりそうだ。

同事業は、2014年2月から国内の主な癌専門病院や大学病院と協働し、頻度は少ないものの有望な治療薬がある患者を全国規模で発見し、新薬が届く環境を整備するために創設された。15年2月からは、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan」の一員となり、大腸癌のみならず消化器癌全体に範囲を広げてきている。

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