2型糖尿病患者対象のリアルワールドエビデンス試験で
英アストラゼネカ社は3月11日、「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン)を含むSGLT2阻害剤(SGLT-2i)による治療を受けている2型糖尿病患者の全死亡、心不全による入院、心筋梗塞および脳卒中のリスクを、他の血糖降下薬治療との比較で評価する、最初の大規模リアルワールドエビデンス試験である「CVD-REAL」の、新たな解析を発表した。この解析結果は、第67回米国心臓病学会年次学術集会のlate breakerにおいて発表され、「the Journal of the American College of Cardiology」にも掲載されている。
現在、世界では約4億2500万人の成人が糖尿病に罹患し、患者数は2045年までに6億2900万人に増加し、その大多数がアジア太平洋、中東および北米に居住していると推定されている。2型糖尿病患者は、心筋梗塞あるいは脳梗塞の高いリスクに晒されていると同時に、2倍から5倍の心不全のリスクを有している。さらに、2型糖尿病患者が心不全を発症すると、心血管死および全死亡のリスクは60~80%上昇する。
フォシーガは、成人2型糖尿病患者の血糖コントロールの改善を適応として単剤療法および併用療法の一環として使われる、ナトリウム・グルコース共輸送体2に作用する選択的阻害剤。米国においてダパグリフロジンは、食事・運動療法で改善しない成人2型糖尿病患者の血糖値コントロールの改善としての効能が承認されているが、心血管イベントや死亡リスクあるいは心不全による入院のリスクの減少を効能とした承認は受けていない。
心不全による入院率を36%、脳卒中の発症率を32%減少
今回の新しい分析結果「CVD-REAL 2」は、世界6か国(オーストラリア、カナダ、イスラエル、日本、シンガポール、韓国)の40万例超の2型糖尿病患者を対象とし、うち74%の患者には心血管疾患の既往歴がなかった。この2型糖尿病患者集団全体において、SGLT2阻害剤であるフォシーガ(ダパグリフロジン)、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジンおよびルセオグリフロジンによる治療は、他の2型糖尿病治療薬による治療と比較して、全死亡率を49%、心不全による入院率を36%、心筋梗塞の発症率を19%、脳卒中の発症率を32%(全てp≤0.001)減少。また、心不全による入院あるいは全死亡の複合評価項目の減少率は40%(p<0.001)だったという。
対象患者の使用薬剤の割合は、フォシーガ使用が75%、エンパグリフロジンが9%、イプラグリフロジンが8%(韓国および日本のみでの処方)、カナグリフロジンが4%、トホグリフロジンが3%、ルセオグリフロジンが1%(両剤ともに日本のみでの処方)。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース