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耐性菌を作らない新たな緑膿菌感染皮膚潰瘍の治療法を開発-大阪市立大

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2018年03月13日 AM11:30

ALAの局所投与と光線力学療法で緑膿菌を殺菌

大阪市立大学は3月9日、緑膿菌感染皮膚潰瘍に対して、5-アミノレブリン酸の局所投与とLED光を用いた光線力学療法を行い、緑膿菌を殺菌し、細菌感染していない場合と同等の創傷治癒促進効果を得ることに成功したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の鶴田大輔教授、小澤俊幸講師らの研究グループが、SBIファーマ株式会社と共同で行ったもの。研究成果は、皮膚科学専門誌「Journal of Dermatological Science」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

近年、抗菌薬に対する耐性菌が世界的な問題として注目されている。研究グループは2014年に、耐性菌の代表であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌()感染皮膚潰瘍に対し、5-アミノレブリン酸()と410nm LEDを使用した光線力学療法(PDT)が、殺菌および創傷治癒促進効果を有することを報告していた。

PDTとは光感受性物質を投与し、標的となる組織に集積させた後に、特定の波長の光を照射することにより生じる活性酸素によって標的細胞(細菌)を死滅させる治療法。既存の抗菌薬の治療とは全く異なる作用機序で殺菌し、耐性菌を生じる事がないため、新たな細菌感染の治療法として注目されている。

少量のEDTA-2NaをALAに混ぜることで有効に

入院患者や抵抗力の弱い人に対して大きな脅威となる感染皮膚潰瘍は、グラム陽性球菌であるMRSAと、グラム陰性杆菌の緑膿菌が二大要因となっている。緑膿菌は水まわりなど生活環境中に広く常在するが、健常者には通常、病原性を示さない弱毒細菌。各種の抗菌薬に耐性を示す傾向が強く、日和見感染症の起因細菌として臨床現場で問題となっている。

今回は、MRSAと同様に薬剤耐性化が問題となっている緑膿菌に対してもPDTが有効か、検討。研究当初、緑膿菌に対してもMRSA同様の方法でPDTを行っていたが、効果が見られなかった。そこで、さまざまな条件を再検討し、少量のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-2Na)をALAに混ぜてPDTを実施。その結果、MRSA感染皮膚潰瘍に対する効果と同様に、緑膿菌は減菌し、有意に創傷治癒が促進され、感染していない潰瘍と同等の治癒効果を得ることに成功したという。

なお、2018年3月から、同大学医学研究科皮膚病態学の臨床研究として、人を対象とした治療を開始する予定。

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