東北メディカル・メガバンク計画の一環として
東北大学は3月9日、東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査の一環として、宮城県内7か所の地域支援センターにて実施された総計3万3,037人分の口腔内検査をまとめ、その結果を発表した。
画像はリリースより
東北メディカル・メガバンク計画におけるコホート調査は、東日本大震災後の被災地域を中心に住民の健康状態を調査し、またバイオバンクを構築することで病気に遺伝要因・環境要因がどのように関わっているかを解析。未来の医学へ貢献することを目的として実施されている。
口腔内の状態は、むし歯や歯周病などそれ自体としても健康上の問題であるのみならず、全身疾患と大きな関係を持つことが近年明らかになってきており、震災後の劣悪な環境が口腔内の状態悪化に影響している可能性も示唆されてきた。今回の調査では、宮城県全域ですべての年齢層の一般住民が対象とされ、県民の1.4%相当が口腔内検査に参加した。震災後に実施された詳細な歯科検診では、初めての大規模な調査であり、厚生労働省が5年毎に全国規模で実施している歯科疾患実態調査(2016年度では3,820人)を遥かに上回る規模のものだ。
成人全体の90.0%で歯周病やその前兆が
今回発表されたのは、同コホート調査において2017年6月までに1度目の口腔内検査を行った総計3万3,037人分についての調査結果。全体の94.1%にあたる3万1,087人に、むし歯や歯周病、口腔粘膜の異常などの口腔内の問題が発見された。また、1万1,696人(成人全体の35.9%)に、むし歯が1本以上、2万9,348人(同90.0%)に、歯周病やその前兆が見つかった。
また、毎日歯磨きをする人は、全体で98.5%(男性:96.8%、女性:99.4%)と、調査対象のほぼ全員が毎日歯磨きをしていると答えた。しかし、男性では、毎日歯磨きするもののその頻度は女性の歯磨き頻度に比較して有意に少なかったという(p<0.05, χ2-検定)。
現在、日本国民の96.2%以上が歯科医院への通院経験を持ち、14.1%は現在通院中とされている。東日本大震災時、避難所に限らず宮城県内全域では、歯科疾患への対応が困難になった。このような経験を踏まえ同機構は、今回の調査から明らかになった歯科関連に大きな問題を抱える人々の特性について、今後検討するとしている。
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・東北大学 プレスリリース