経口チロシンキナーゼ阻害剤と抗PD-1抗体
エーザイ株式会社と米Merck社は3月8日、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表した。この契約に基づき、両社は「レンビマ」の単剤療法と、Merck社の抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。
レンビマは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生、腫瘍悪性化、および腫瘍免疫調整に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能な新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤。
甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、アジアなど50か国以上で承認を取得済。米国、欧州など40か国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得している。レンビマの肝細胞がんに係る適応について、日本、米国、欧州、中国、および台湾などで承認申請を行っている。
子宮内膜がん、非小細胞肺がんなど6がん種で共同開発
現在、腎細胞がんを対象とした、レンビマとキイトルーダあるいはエベロリムスとの併用療法に関する臨床第3相試験(307試験)をエーザイが実施している。また2017年12月に、進行性または転移性腎細胞がんの適応に対するレンビマとキイトルーダの併用療法について、米国食品医薬品局(FDA)より、ブレイクスルーセラピーの指定を受けた。この指定は、両社が共同で実施中の複数の固形がんを対象とした臨床第1b/2相試験(111試験/KEYNOTE-146試験)の中間結果に基づいている。子宮内膜がんと腎細胞がんを対象とする中間結果では、治療歴やPD-L1発現の有無など患者背景に関わらず、奏効率における顕著な相乗効果が示唆されているという。
今回の提携により、両社は、レンビマとキイトルーダとの併用療法に関して、子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマの6がん種における治療歴に応じた11の適応取得を目的とした臨床試験に加え、複数のがん種に対するバスケット型試験を共同して開始するという。
なお、レンビマに関する売上収益はエーザイが計上し、開発およびマーケティング費用ならびに粗利益を、両社で折半するとしている。
▼関連リンク
・エーザイ株式会社 ニュースリリース