■かかりつけ薬剤師の活用推奨
厚生労働省は9日、電話やテレビなどの情報通信機器(ICT)を用いた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」案を検討会に示した。オンライン診療の実施に当たって、初診は原則直接の対面で行うべきとし、その後も同じ医師の対面診療と組み合わせて行うとの基本理念を提示。薬剤処方については、対面診療に基づく処方が原則とし、処方後は患者の服薬状況の把握に努めるなどの遵守事項を記載した。さらに患者に対し、かかりつけ薬剤師・薬局のもとで医薬品の一元管理をしてもらうよう求めることを推奨した。
指針案ではオンライン診療を「遠隔医療のうち、医師-患者間で情報通信機器を通して患者の診察および診断を行い、診断結果を伝達する等の診療行為をリアルタイムで行う行為」と定義。ICTを活用した健康増進、医療に関する行為は「遠隔医療」と位置づけた。
オンライン診療の実施に当たっては、医師と患者の合意を前提に、初診は原則直接の対面で行うべきとの考え方を提示。開始後も望ましくないと判断される場合は対面診療を行うべきとした。
オンライン診療は、原則同じ医師による直接の対面診療と組み合わせて行われることを最低限遵守する事項に盛り込んだ。
オンライン診療が望ましいケースとしては、生活習慣病などの慢性疾患について、定期的な対面診療の一部を代替し、医師と患者の利便性を図ったり、定期的な対面診療にオンライン診療を追加し、医学管理の継続性や服薬コンプライアンスの向上を図る例を挙げている。
また、薬剤処方・管理については、効能・効果と副作用リスクを正確に判断するため、医薬品の処方前に患者の心身状態を十分に評価できている必要があるとし、医薬品の飲み合わせに配慮すると共に、過量処方とならないよう薬の管理には十分に注意が払われるべきとの考え方を示した。
その上で、原則として新たな医薬品の処方を行う場合は、直接の対面診療に基づいて行われることを最低限遵守する事項と位置づけた。ただ、患者の生命に危険が及ぶ可能性が高く、対面診療を待つことが望ましくない場合は、医師の判断でオンライン診療に基づき医薬品を処方することが許容されるとした。
副作用の強い医薬品の処方については、特に慎重に行うと共に、処方後の患者の服薬状況の把握に努めるなどリスク管理に最大限努めなければならないと強調。医師は患者が服薬している医薬品を確認しなければならないとしつつ、患者に対して、かかりつけ薬剤師・薬局のもとで医薬品の一元管理を行ってもらうよう求めることが望ましいと明記。かかりつけ薬剤師・薬局の活用を促す内容を盛り込んだ。