抗EGFR療法への耐性獲得関与の可能性が示唆されるHER2
第一三共株式会社は3月8日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるDS-8201について、HER2発現の再発・進行性大腸がん患者を対象とした第2相臨床試験で、最初の患者への投与を開始したと発表した。
ADCは、抗体医薬と低分子医薬を適切なリンカーで結合させた医薬群。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介し、薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤だ。
HER2陽性患者で評価した後、HER2低発現患者で探索的評価も予定
今回の試験は、2回以上の標準治療歴のあるHER2発現の再発・進行性大腸がん患者を対象とした第2相臨床試験。最初に、HER2陽性の患者対象に、DS-8201の有効性と安全性を評価する。主要評価項目は全奏効率。日・米・欧で患者約50名を登録する予定。その後、HER2低発現の患者を対象とした探索的評価も予定しているという。同試験は、DS-8201の乳がん・胃がん領域に続く第2相臨床試験となる。
大腸がん治療は従来に比べ大幅に改善しているが、再発・進行性の大腸がんでは、限られた治療法しかないのが現状だ。HER2は、大腸がん細胞の約3%%に過剰発現し、抗EGFR療法への耐性獲得等に関与する可能性が示唆されているが、現在、大腸がんの治療に抗HER2療法はない。同社は、DS-8201が新しい治療の選択肢となることを期待する、と述べている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース