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妊娠初期の野菜摂取が児の2歳時の喘息症状の発症率軽減に寄与する可能性-成育センター

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2018年03月06日 PM02:00

つわりの影響で推定が難しい妊娠初期の栄養摂取状況

国立成育医療研究センターは2月28日、妊娠初期に妊婦が野菜を多く摂取すると、児が出生後、2歳になったときの喘息症状()の発症率が低くなることを同センター内のコホートデータを使用した解析で見いだしたと発表した。この研究は、同センター産科の小川浩平医師らのグループによるもの。研究成果は、臨床栄養学関連の国際誌である「European Journal of Clinical Nutrition」より発表されている。


画像はリリースより

一般の小児や成人では、野菜摂取はその後の喘息リスクの軽減に寄与するという報告が複数あり、妊娠中の野菜摂取も同様に出生後の児の喘息リスク軽減につながる可能性があると研究グループは考えた。しかし、つわりなどの影響があるため、妊娠中の栄養摂取を評価することは難しく、妊娠中の野菜摂取と児の喘息のリスクの関係を調査した研究はほとんどない。

研究グループは、栄養摂取を評価するための質問紙票を妊婦用に調整。この質問紙を使用すれば、つわりの有無によらず比較的正確に栄養摂取状態を評価できることを過去の研究で明らかにしていた(2017. Ogawa)。今回は、この質問紙を用いて妊娠初期の野菜摂取状況を明らかにし、児の成長後(2歳時)の喘息症状(喘鳴)の発症率との関連を調査したという。

アブラナ科野菜でオッズ比0.48、葉野菜でオッズ比0.47

今回の研究には、2010年から2013年の妊娠女性を登録し、女性とその児を継続的に追跡調査している国立成育医療研究センターの出生コホート研究データベース(母子コホート研究)を使用。喘息症状(喘鳴)の有無は2歳時に質問紙を用いて評価したため、質問紙の回答が得られなかった症例などは除外して解析。対象となった511人を野菜(総野菜)の摂取量により5群に分け、それぞれの群における喘息症状(喘鳴)の発症率を比較した。また、さらに細かい解析として、総野菜だけではなく、、キャベツなど)、緑黄色野菜毎に対象者を5群に分け、追加で検討した。

その結果、妊娠初期の総野菜摂取量が多いほど、2歳の児の喘息症状(喘鳴)発症率は低下。最も総野菜を摂取している集団(Q5)は、最も総野菜を摂取していない集団(Q1)と比較して喘息症状(喘鳴)発症のオッズ比が0.59だった。また、妊娠初期にアブラナ科野菜や葉野菜の摂取量が多いほど2歳の児の喘息症状(喘鳴)発症率が低下することが示されたという(アブラナ科野菜でオッズ比0.48、葉野菜でオッズ比0.47)。緑黄色野菜では、発症率は少し低くなっていたが、統計的に有意な差にはならなかったという。

今回の研究結果について、研究グループは「妊娠初期の妊婦に葉野菜やアブラナ科野菜を中心とした野菜を摂取するように指導することで将来の喘息発症率を低下させることができるかもしれない」とする一方、「本研究における対象者は必ずしも多くはなく、他の集団でも同様の結果が得られるのかどうか検証する必要がある」と述べ、妊娠初期の栄養指導の発展に貢献できるように、同研究結果を裏付けることのできるデータを示していきたいとしている。

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