長期収載品の減収が足を引っ張る
ファイザー株式会社は3月1日、日本法人の2017年度(2016年12月1日~2017年11月30日)業績についてコ・プロモーション製品分を除く売上高が4423億円で、対前年同期比6.6%の減収になったと発表した。長期収載品の継続的な減収が法人全体の減収の大きな要因と同社では発表している。
同日に都内で開かれた業績発表会見で、同社の原田明久社長は、主力製品である疼痛治療薬「リリカ」、過活動膀胱治療薬「トビエース」、関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」、慢性骨髄性白血病治療薬「ボシュリフ」、肺炎球菌ワクチン「プレベナー」などが大幅に伸長したことを強調。しかし、「コ・プロモーション契約先の2017年度の在庫調整や、長期収載品における継続的な減収の影響があった」と減収要因を説明した。
今後の各事業領域の戦略について原田社長は、2017年12月に上市し、既存薬と比べ無増悪生存期間を約2倍延長させた切除不能・再発乳がん治療薬「イブランス」、1月に承認を取得したばかりの再発・難治性急性リンパ性白血病治療薬「ベスポンサ」、申請中の非小細胞肺がん治療薬(ALK阻害薬)「ロルラチニブ」の上市成功や炎症・免疫領域でのゼルヤンツの潰瘍性大腸炎への適応拡大などを推進していきたいとの意向を表明した。
新・新薬創出加算「イノベーション評価に繋がらない算定要件」と批判
原田社長はまた、3省(厚生労働省、経済産業省、文部科学省)のライフサイエンス予算を一元化して設立された日本医療研究開発機構(AMED)や特許庁による積極的な知的財産保護の取り組み、医薬品医療機器総合機構(PMDA)での革新的医薬品に対する先駆け審査制度など、現在の日本の医薬品開発の整備状況を高く評価した。
そのうえで薬価制度の中で新薬創出加算の算定要件が4月から改められることに言及し、「 “イノベーション評価に繋がらない算定要件”に大きな乖離、政策上の矛盾があるのではないかと考える」と批判。「革新的な医薬品を患者さんに届けるためには、薬価だけではなく、医療全体を俯瞰した議論と一貫した政策の実行が必要」と提言した。
なお、同社では、2018年度から「コーポレートアフェアーズ・ヘルスアンドバリュー本部」を新設。医療技術評価、医療経済評価などによって、医薬品・治療選択肢の価値の可視化を目指すなど、会社の戦略において、データに基づき価値を訴求できる環境の整備をすすめている。
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