生存率解析システムKapWebにも反映させ一般公開
国立がん研究センターは2月28日、全国がんセンター協議会(全がん協)の協力を得て、加盟施設での診断治療症例について部位別5年相対生存率、10年相対生存率を集計し、全がん協ホームページで一般公開したと発表した。この研究は、国がんの研究開発費に基づく研究班「がん登録データと診療データとの連携による有効活用に関する研究班(班長:東尚弘)」によるもの。
画像はリリースより
がんの生存率は、治療による効果を表す指標であり、がん診療の評価などにおいて重要な要素となるが、信頼できる生存率を算出するには、精度の高い予後調査の実施などの課題がある。同研究班では、1999年診断症例より部位別施設別5年生存率を公開し、さらに2012年からはグラフを描画する生存率解析システムKapWebを公開するなどの取り組みを行い、諸問題の調査、研究に取り組んでいる。
今回は、2017年に続き部位別10年相対生存率を集計するとともに、これまで公開してきた部位別5年相対生存率の最新症例についても更新。また、これらを生存率解析システムKapWebにも反映させ、一般公開したという。
全部位全臨床病期の生存率は徐々に改善
生存率算出結果の概要によると、全部位全臨床病期の5年相対生存率は67.6%。1997年の62.0%から徐々に改善している傾向がみられる。これは、化学療法、放射線治療や早期発見、技術の進歩が貢献していると考えられるという。なお、90%以上は、前立腺(100%)、乳(93.5%)、甲状腺(92.1%)。70%以上90%未満は、子宮体(85.6%)、大腸(76.0%)、子宮頸(74.8%)、胃(74.5%)など。50%以上70%未満は、卵巣(62.2%)。30%以上50%未満は、肺(42.7%)、食道(43.3%)、肝(35.3%)。30%未満は、胆のう胆道(26.4%)、膵(9.3%)であった。
部位全臨床病期の10年相対生存率58.5%。同じデータベースの5年相対生存率は63.8%。2001-2004年の10年相対生存率はエデラーII法で計算しており、前回集計の2000-2003年の相対生存率はエデラーI法で計算している。2000-2003年の10年相対生存率をエデラーII法で計算した場合は54.2%になる。なお、90%以上は、前立腺(92.4%)。70%以上90%未満は、甲状腺(86.0%)、子宮体(79.0%)、乳82.8%)、子宮頸(69.8%)など。50%以上70%未満は、大腸(65.9%)、胃(64.3%)、腎(62.4%)など。30%以上50%未満は、卵巣(44.5%)、肺(30.4%)など。30%未満は、食道(28.4%)、胆のう胆道(15.2%)、肝(14.6%)、膵(5.0%)などとなっている。
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・国立がん研究センター プレスリリース