文部科学省の「薬学実務実習に関する連絡会議」は2月28日、今年5月にスタートする2018年度実務実習第I期から、ほぼ全ての大学で改訂モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習を想定した「トライアル」を実施するための準備が整っている状況を確認した。19年2月から新たな実習が始まるため、本格導入を円滑に行う上で、18年度のトライアル実習は重要な位置づけとなるが、全国8ブロックを対象に薬学教育協議会が行ったアンケート調査では、地区によって濃淡はあるものの、原則として「全ての施設でトライアルを実施する予定」との回答を得た。
文科省が昨年11月の同連絡会議で公表した、トライアル実習の実施状況に関する調査では、74大学のうち、トライアルの試行を行っている大学は32校(43.2%)にとどまっており、大学側の積極的な姿勢が見られなかったが、薬学教育協議会がこの日の会議に提示した調査結果では、ほぼ全ての地区で実務実習実施計画書や新たな評価基準を用いてトライアルを行う予定であることが分かった。
アンケートでは、東北地区が「評価のみではあるが、学生を受けている全薬局・全病院でトライアルを行うこととした」、東海地区が「新年度から概略評価のトライアルおよび新ウェブシステムの動作確認に関するトライアルを進める」と回答。
近畿地区は「新薬学実務実習(通称トライアル)案を作成した」、中国・四国地区は「概略評価を中心に全施設、または一部の施設で、紙面を使用したトライアルを行う」、九州・山口地区では「原則として全てトライアルを行うようにする」と答えた。関東地区は、国立大学1校を除いて、全面的ないし小規模でトライアルを実施することが分かった。
また調査では、実習開始前に、実習生ごとに作成することになっている「実務実習実施計画書」について、同連絡会議が作成した例示をひな形として活用していくことや、実習の評価基準についても、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会がそれぞれ作成したものを施設に合わせて活用しようと考えていることも分かった。
太田茂座長(広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)は、トライアルについて、「具体的な実施時期や規模などはいまだ決まっていないところはある」としたものの、「反対している地区はなく、積極的に進めたいというところがほとんどだった」と総括した。