クローン病の国内疾患レジストリ研究としては初の規模
ヤンセンファーマ株式会社は2月28日、日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)とクローン病で日本初となる大規模疾患レジストリ研究について、研究支援覚書(MOU)を締結したと発表した。同MOUに基づき、JSIBDは研究計画や得られた解析結果の医学的解釈について、助言などの支援を行うという。クローン病において、この規模の国内疾患レジストリ研究は今回が初めてとなる。
希少疾患であるクローン病は炎症性腸疾患のひとつで、日本における患者数は約7万人。男女どちらも等しく罹患し、年齢を問わず発症するが、15~35歳に好発する。症状はさまざまだが、しばしば腹痛や腹部圧痛、頻回な下痢、直腸出血、体重減少および発熱が生じ、患者のQOLに深刻な影響を与える。現時点で根治させる方法は見つかっていない。
国内のクローン病新規患者の1割相当を対象に
疾患レジストリ研究は、特定の疾患の患者群における治療や医療機器などの医療情報を収集してデータベースを構築し、日常診療における治療内容や治療経過などを解明することで、疾患の理解や、医療の向上に役立てる事を目的とした研究。今回の研究は、クローン病の診療、診断後の治療、予後などの実態を把握して、クローン病治療のさらなる発展へつなげることを目的に、国内のクローン病新規患者の約1割に相当する患者を対象に実施する。研究期間は、2024年5月31日までを予定している。
JSIBD臨床疫学委員会の松岡克善委員長は、プレスリリースで「今回、大規模な症例数を解析することで、クローン病の原因や症状へ影響を及ぼす要因等を理解し、より良い治療へつなげることが期待される。また日本におけるクローン病治療の現状、特に生物学的製剤の処方率、処方継続率、さらに併用薬などの状況を明らかにして、生物学的製剤の適正使用に関する有益な情報を国内外へ発信できると考えている」と述べている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース