腹腔内感染症・尿路感染症への適応で
MSD株式会社は2月28日、注射用広域抗菌薬「タゾバクタムナトリウム・セフトロザン硫酸塩配合剤」の製造販売承認申請を行ったと発表した。同剤は、レンサ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌、バクテロイデス属に対する広域抗菌薬として、腹腔内感染症・尿路感染症への適応症取得を目指している。
腹腔内感染症は、手術や事故などの侵襲、他の感染部位からの波及によっておこる腹腔内の感染症で、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍などがある。尿路感染症は、尿流に影響を及ぼす基礎疾患のない単純性と、前立腺肥大や尿路結石などの基礎疾患のある、あるいはカテーテルに起因する複雑性に分類され、腎盂腎炎や膀胱炎などがある。これらの疾患は敗血症を併発し重症化することもある。
セフトロザン硫酸塩にタゾバクタムナトリウムを配合
タゾバクタムナトリウム・セフトロザン硫酸塩配合剤は、新規セフェム薬であるセフトロザン硫酸塩1.0gにβラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタムナトリウム0.5gを配合した注射用抗菌薬。腹腔内感染症と複雑性尿路感染症では、ESBL産生菌や緑膿菌などの難治性あるいは耐性菌による感染症が問題となっている。同剤は、それらを含む幅広いグラム陰性菌に対し、優れた感受性を有しているという。
同社は、原因菌が同定される前に感染部位より想定される菌を広くカバーする比較的広域な抗菌薬を使用する「経験的治療」と、原因菌が同定された場合に、菌の感受性や感染部位への移行性などを考慮して最適な抗菌薬を使用する「標的治療」の新たな選択肢のひとつとして期待されるとしている。
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・MSD株式会社 ニュースリリース