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保存期腎不全患者のループ利尿薬使用、サルコペニア合併と関連か-東京医歯大

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2018年03月01日 PM12:00

保存期CKD患者の前向きコホートを作成し、分析

東京医科歯科大学は2月27日、保存期腎不全患者におけるループ利尿薬使用がサルコペニア合併リスクと関連する可能性を示したとの研究結果を発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科腎臓内科学分野の内田信一教授と内藤省太郎講師の研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「PLOS ONE」オンライン版で発表された。

サルコペニアは加齢に伴う骨格筋の筋量減少および機能低下と定義されている。慢性腎臓病()などの疾患や、ポリファーマシーと合併し得るものだが、CKDの治療に用いられる各種薬剤が透析導入前(保存期)のCKD患者のサルコペニア合併にどれだけ寄与しているかに関しては、未解明な部分が多かったという。

今回、研究グループは、保存期CKD患者の前向きコホートを作成。登録時のデータを用いてCKD治療に用いられる薬剤に着目しつつ横断研究を行い、サルコペニアのリスク因子について調べた。2016年6月から2017年3月に登録された推算糸球体濾過量()60ml/min/1.73m2未満の高齢者(65歳以上)260人を解析対象とし、サルコペニアに関与する因子と考えられる性別、年齢、CKD原疾患、内服歴、合併症のデータを抽出。サルコペニアの診断はAsian Working Group for Sarcopeniaの診断基準を用いて行い、サルコペニアと各因子の関連をロジスティック回帰分析にて解析した。

他の内服薬の多くとは、有意な関連認めず

その結果、年齢、性別、、eGFR、糖尿病を共変量とする多変量解析では、全利尿薬、ループ利尿薬の調整オッズ比はそれぞれ3.08 (95%信頼区間1.31-7.23 p<0.010)、4.59 (95%信頼区間1.81-11.61 p<0.001)と有意であり、サルコペニアのリスク因子である可能性が高いと考えられた。


画像はリリースより

その他、高齢者、男性、BMI低値、糖尿病もサルコペニアのリスク因子と考えられたが、eGFRの調整オッズ比は有意ではなく、腎機能とサルコペニアの関連は認められなかった。また、他の内服薬の多くは、サルコペニアとの有意な関連は認めず、尿酸降下薬は多変量解析においては1個のモデル(共変量:年齢、性別、BMI、eGFRcr、)で調整オッズ比2.15 (95%信頼区間1.03-4.48 p=0.042)と弱い関連を認めたのみで、サルコペニアのリスク因子と考えるには根拠に乏しい結果だったという。

ループ利尿薬は、心疾患や腎疾患の患者の浮腫などに対して広く用いられる。今回の臨床研究によって、保存期CKD患者におけるループ利尿薬使用とサルコペニア合併との関連が初めて示唆された。研究グループは、「薬剤自体がサルコペニア合併に関与しているかは今後の前向き研究が必要となるが、本研究の成果は、患者の状態に応じたループ利尿薬の適正な利用を推奨する臨床データになり得ると考えられる」と述べている。

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