通常の20~100倍の効率で血液脳関門を通過
大日本住友製薬株式会社とJCRファーマ株式会社は2月26日、大日本住友製薬が選定した候補物質に、JCRファーマが保有する血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo(R)」を適用し、両社が権利を共有する薬剤に関し、大日本住友製薬が特定の中枢神経疾患に対する治療薬として開発することに合意し、JCRファーマが保有する権利のライセンス契約を締結したと発表した。
J-Brain Cargoは、脳毛細血管の内皮細胞表面に発現しているトランスフェリンレセプターを介して目的とする物質の血液脳関門通過を実現する技術。JCRファーマが実施した非臨床試験では、通常の20~100倍の効率で血液脳関門を通過させることができた。この技術は、対象となる高分子から低分子までの薬剤に血液脳関門通過能を付与できる画期的な技術であり、静脈内投与で十分量の薬剤が脳内に到達して薬効を発揮するため、これまで改善が期待できなかった脳神経症状を伴う病態に対し、改善効果が期待される。
適応症拡大および地域追加に関するオプション権も
両社は2015年6月17日、フィージビリティスタディ契約を締結。特定の中枢神経疾患に対する同剤の治療薬としての可能性について検討してきたが、同剤が両社で定めたクライテリアを達成したため、ライセンス契約を締結したという。
今回の契約に基づき、大日本住友製薬は、JCRファーマが保有する権利のライセンスを受け、日本および北米において、特定された中枢神経疾患を対象として同剤を独占的に研究開発・販売する権利を保有し、JCRファーマに対して契約一時金および開発段階に応じた開発マイルストンとして総額37億円を支払う可能性がある。また、販売後は、販売額に応じたロイヤルティおよび販売額の目標達成に応じた販売マイルストンを支払う。さらに、大日本住友製薬は、適応症の拡大および地域(中国)の追加に関するオプション権を保有している。
なお、JCRファーマは、J-Brain Cargoを適用した血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素製剤(開発番号:JR-141)の第1/2相臨床試験を実施し、良好な結果を得ているが、自社開発品以外ではJ-Brain Cargo適用薬剤の初めてのライセンス契約となる。
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・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース